不動産基礎知識

競売における建物明渡しの強制執行とは

競売物件を落札しても、旧所有者が居住を続けていると落札者は使用収益することができず困ってしまいます。このようなとき落札者はどのような手段を講じることができるでしょうか。

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■不法占拠に対する手段
マイホームの住宅ローンの滞納を続けていると、やがて債権者は抵当権を実行して競売により資金回収を行います。そして競売による落札者が代金の支払いを行った時点で、競売物件であったマイホームの所有権は落札者に移ることになります。
旧所有者がマイホームに居住を続けていた場合には、この時点で不法占拠ということになり、強制的に家から追い出されても文句は言えません。
実際のところは落札者が旧所有者に対して明渡しをお願いし、いつまでに退去をしてくださいというお願いをするのですが、応じてくれない旧所有者なども存在します。このようなときに、落札者が講じることの出来る手段として建物明け渡しの強制執行があります。

■建物明渡しの強制執行への流れ
競売における建物明渡しの強制執行とは、落札した競売物件において不法に占有を続ける者を国家権力によって強制的に競売物件から退去させることをいいます。建物明渡しの強制執行は、所有権を取得したらすぐに行えるというものではなく、次の手順を必要とします。
まず、落札者が「引渡命令」の申し立てを行い、これを受けて裁判所は引渡命令の決定を下し、不服申立がなければ命令が確定します。
ここで申立人である落札者は予納金納付などを行い、「建物明渡しの強制執行」の申し立てを行うのです。引渡命令の申立からここまで概ね10日から2週間程度です。
建物明渡しの強制執行を申し立てたら、断行日といって強制執行を実行する日に向けて執行官と打合せを行い、明渡しの催告を通じて強制執行断行日における作業内容を見積もることとなります。
このとき、居住者に対して明け渡しの要請とともに断行日の告知を行います。断行日になっても居住者が住み続けている場合には、執行官が強制的に退去させることになり、家の中の荷物も強制的に運び出されることになります。建物明渡しの強制執行の申立てから断行日まで概ね1ヶ月半を要します。

■強制執行におけるトラブル
強制執行が行われると大勢の人員で一斉に荷物が運び出されるなどして、近所でも大変目立つことになります。また、強制執行に対して妨害行為を働くと公務執行妨害などで逮捕される可能性もあります。
出来ることならば強制執行は回避したいと思われることでしょうが、行く当ての無い方はやむにやまれず居住を続けているケースもあります。
もし、任意売却という方法を知っていたら、選んでいたら、このような事態は避けられたものと思われます。任意売却であれば、引っ越し費用も捻出できる可能性があります。住宅ローン滞納などにより家を手放すという選択をされる場合には是非任意売却をご検討ください。

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