不動産基礎知識

競売における占有者を退去させるための手段としての引渡命令

不動産競売において、最も大きなトラブルになりやすいのが建物の明け渡しです。人と人とのことですので、感情という問題が入り込むために思わぬトラブルに発展することもあります。
過去には競売物件からの退去を巡り大きな事件になったこともありました。このようなことの無いように競売物件からの退去を求める手段として引渡命令を得て、強制執行するという手段があります。

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■何故トラブルが起きるのか
建物の明け渡しでトラブルが起こるのには理由があります。単に他に家もなく、転居先もないという理由もあるでしょうし、家に対する思い入れが強いために退去が受け入れられないという理由もあるでしょう。そして、最もトラブルになり易いのは占有者が金銭の受領を目的として占有を行っているケースです。
もともとの所有者が転居のための引越し費用などを出して貰いたくて占有を続けているケースもあれば、少なくなりましたが占有屋と呼ばれるような人が居座っているケースも完全になくなった訳ではありません。
落札者の対応としても、お金を払ってしまう人もいれば、払う義務はないため別の方法で退去をさせる人もいます。しかし、お金を支払っても退去してくれるという保証がある訳ではありません。最近は最初から引渡命令を経て強制執行を申し立てるという人も増えてきているようです。

■建物を明け渡してもらうには
不動産の明け渡しは、通常のケースでは明渡請求訴訟を起こし、勝訴判決を得て明渡の強制執行を申し立てることとなります。この方法だと裁判に大変な時間が要することとなり3~6カ月は掛かることとなります。一方、競売物件であれば簡略された手続きで強制執行を申し立てることが可能です。
まず、引渡命令を申立てて、最短3日程度で引渡命令の決定を得ることができ、引渡命令の確定を待って強制執行を申し立てることが可能です。落札者は物件の代金を納付した日に引渡命令の申立てを行うことが出来ることから、占有者との交渉には一切に応じず淡々を強制執行の手続きを取る方もいらっしゃいます。

■結局は退去せざるを得ない
マイホームを手放したくないと思って占有を続けていても最終的には強制執行によって退去せざるを得ない状況になります。
また、落札者の立場が法改正によって強くなったこともあり、交渉によって金銭を受領しようとしても上手くいかないケースが増えています。強制執行を妨害するようなことがあれば、強制執行妨害等罪などに問われることもあります。強制執行を妨害することは犯罪行為なのです。
最終的に退去せざるを得ないのであれば、気持ちの整理を付けて競売ではなく、任意売却を選択することをお勧めします。任意売却であれば、債権者との交渉次第では引越費用を手に入れることもできない話ではありません。
強制執行によって追い出されてしまうよりも、より良い再出発のためにも任意売却をお勧めします。

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