家賃を支払うぐらいなら、その家賃でもって住宅の購入に充てたほうが良いということで、現在支払っている家賃を前提に借入額を検討される方がいらっしゃいます。しかし、この借入額の検討ですと将来的に賃料の支払いが困難になる危険性があります。
■ 賃貸と持ち家ではメンテナンスなどの考えが違います。
賃貸住宅では物件を借りて居住することとなり、設備について電球などの消耗品を除き賃借人の原因でなければ補修繕の費用はオーナー負担となります。しかし、持ち家となると全て自己負担となりますので、これまで家賃だけで済んでいた以外の費用が自己負担ということとなります。また、固定資産税、都市計画税なども賃貸住宅では支払う必要はありませんでしたが、持ち家では自己負担しなければなりません。また、マンションなどでは別途組合管理費や修繕積立金などの負担もあります。 毎月の返済額を家賃並みと考えると、上記の費用が上乗せの負担となってしまいます。
■ 金利の上昇によって返済額が上昇する。
固定金利型の住宅ローンであれば返済額は変わりませんが、低金利時に家賃並みの返済額で借入額を決めてしまうと、金利の上昇時に家賃を上回る返済額となります。例えば借入額3500万円で、35年間元利均等返済を、ボーナス払いなしで行うことを想定した場合、金利2%と3%では、月々の返済が2万円近くも違ってきます。金利の変動は、推測できるものではありませんが、上昇する可能性があることは考慮して借入額を決めなければいけません。また、低金利時の金利変動型などで家賃並みの返済額で検討することで、借り過ぎの状態にならないように気を付けましょう。 住宅を住宅の営業マンから購入することが多いこととは思います。住宅の営業マンは、お客様に購入してもらうことが第一ですので、住宅ローンの返済額についても支払いの多寡については基本的には踏み込みません。お客様が返済できると思えば、それで良い訳です。返済額以外にもかかる費用、将来的なリスクも踏まえて冷静な判断をするようにしましょう。
■ それでも家賃の支払いが厳しくなってしまったら。
金利上昇や子供の学費の増加、収入の減少などで住宅ローンの返済が困難になってきたと感じたら、早めに金融機関に相談しましょう。相談が遅れれば遅れるほど選択肢が少なくなり、最後には強制競売しかないということにも成りかねません。住宅ローンの借り換えや返済条件の変更などで切り抜けられれば良いのですが、売却しかないということになっても、競売よりも任意売却のほうが売却金額が高くなり残債が少なくなるメリットがあります。また、任意売却を専門にしている不動産会社からも良いアドバイスを受けることも可能です。ご自身にあった一番良い選択ができるようにしてください。