住宅ローンの返済が出来なくなったマイホームや借金の返済が出来なくなり裁判などの結果強制的に売却されることになった不動産などが競売で売却されることになります。
以前は最低売却価額制度という制度がありましたが、平成17年4月1日からは廃止されています。この背景には何があったのでしょうか。
■最低売却価額制度の見直し
裁判所による競売では、競売物件に占有者が居座るなど執行妨害などが問題となることが度々と起こってきました。競売に関する制度の見直し、法律の改正はこのような問題を解決するために行われてきたといっても過言ではありません。
例えば短期賃貸借保護制度というものがありました。当該制度は、土地は5年以内、建物は3年以内というように短期の賃貸借契約によって競売物件に居住している者などは当該契約期間の間はその権利を保護するというものでしたが、当該制度を悪用して物件を占有する者が多かったために当該制度も平成16年3月31日で廃止されました。
競売によって債権者の債権回収を行うという目的を速やかに実現するという社会的要請もあり、最低売却価額制度が見直された結果、平成17年4月1日からは売却基準価額制度へと変更されました。
■最低売却価額制度と売却基準価額制度
競売は入札者の自由競争によって高額な入札価額での落札を期待するものですが、売却される不動産の価額について何の制約も無いと、談合や入札に妨害などがあった場合に不当に安い価額で落札されてしまう可能性があります。
過去にはこのようなことも実際にあったことから、最低売却価額を設定して当該価額以上でなければ不動産の落札を認めないという制度が適用されました。これが最低売却価額制度となります。
この最低売却価額は裁判所から選任された評価人が評価した不動産の価額が基準となっていますが、最低売却価額以上の入札が行われないこともあり、20%下げた価額で再競売すると入札者が現れるということがありました。
そこで最低売却価額よりも20%安い金額で入札を行っても落札が認められるという制度に見直しを行いました。このとき評価における価格水準は変わらないのですが最低売却価額という名称を売却基準価額に改め売却基準価額制度と呼び名も変わることとなりました。
■売却基準価額制度の効果
最低売却価額制度から売却基準価額制度へと見直しがなされたことで、落札可能な金額は下がることになり債権処理のスピードアップに寄与する事となりました。
しかし、入札に参加し易くなったために競争が惹起され高値が付くという効果も表れています。