法制度の改正により、最近では個人で競売に参加する人も増えてきました。只し、競売は通常の不動産売買と異なり、様々なトラブルが起こり得るのも事実、今回は不動産の競売に個人で参加する人が、弁護士に相談した方が良いかもしれないと言えるケースを紹介します。
個人が競売に参加し易くなった理由
平成16年(2004年)に民事執行法が改正され、これまでの「最低売却価格」が廃止され、新たに「売却基準価額」が設けられました。更にはこの売却基準価額の8割の金額で入札が認められるようになりました。
更には、同じく平成16年(2004年)より、施行された「内覧制度」の存在は、競売での売却対象となる土地に建物などを立てて居座る事を禁止する制度です。これにより、いわゆる”占有屋”への対応が不要となったことが大きいと言えます。
明渡請求訴訟
競売対象物件には、通常の不動産売買物件とは異なり、住み続けている住人”占有者”がいる事が珍しくありません。住宅ローンを組んで住宅を買ったものの、収入減など何らかの理由によって住宅ローンが支払えなくなったために、住んでいる物件が競売に掛けられたという流れがあるわけですから、引っ越し費用の捻出も困難な状況にある占有者が多いのです。
この占有者に対して、競売によって物件を落札した人、すなわち”買受人”は、自ら交渉して退去してもらうか、あるいは占有者との間で賃貸借契約を結ぶことになります。恐らく個人で競売に参加する人にとって最大の難関がこの占有者への対応だと思います。
占有者が賃貸借契約に応じず、退去もしない場合、裁判所を通して「引渡命令」という物を出してもらえます。書面のみの手続きで行える制度です。但し、引渡命令を出すのには条件があります。占有者が賃貸借による占有権限があると主張していない事です。
この存在を占有者が主張する場合には、明渡請求訴訟を起こす必要が生じます。そこで、弁護士へ相談する事になります。”訴訟”ですので、裁判となるため、弁護士と綿密な協議が必要となります。労力・費用・時間を要しますが、現状の制度では遺憾ともしがたいというのが実情です。
明渡猶予
かつては「短期賃貸借」という制度があり、競売で物件を落札した買受人が占有者に対して明渡要求をしても認められないというケースがありました。しかしこの制度は、悪用される例が後を絶たなかった為、現在は廃止されています。引渡命令が出れば、物件を明け渡さざるを得なくなっています。但し、「明渡猶予」という制度が新たに作られたため、これには注意が必要です。
明渡猶予とは、競売による買受の日から6ヶ月間に限り、明渡を猶予されるという制度です。法令によって規定されている為、この期間は、占有者の退去を待つより仕方ありません。但し、明渡猶予期間中も、”賃料相当の損害金”の請求が出来ます。これが支払われない場合は、明渡猶予は打ち切られることになります。その為、”賃料相当の損害金”の請求は忘れず行いましょう。
まとめ
今回は、個人で競売に参加する人が、弁護士に相談する事を検討した方が良いケースをご紹介しました。相場価格より安く物件が購入できるのが競売の魅力です。しかし相応の苦労も多い為、競売について相談できる不動産会社を見つけることも重要になってきます。
競売に関する事や不動産の事なら全ておまかせ、ご相談も「アブローズ」までご一報を下さい。