新築離婚。家を建てる計画の夫婦は、住宅完成を待たず離婚しやすいという説に基づく言葉であり、近年それは増加傾向にあると言われています。仮に新築離婚率が高ければそれに伴い手つかずの住宅が不動産競売で扱われる件数も多くなると予想されますが、実際のところどうなのでしょうか?
「夫婦3組中1組が離婚する」は本当か?
「日本では、夫婦3組のうち1組が離婚する」。そのような噂を見聞きした方もおられるのではないでしょうか。しかしそれは、算出方法の誤りによる錯誤と言えます。
日本の離婚件数は年間約20万件で、年度別に見てほぼ横ばいに推移しています。他方、近年の1年間における婚姻件数は約60万件となっています。両者を単純計算すると、1年間の婚姻件数に対する離婚件数の割合は約1/3となり、これが夫婦3組中1組離婚という説の論拠となっていると考えられます。
しかし、その算出方法は、1年の婚姻件数=夫婦総数という誤った前提に基づいています。夫婦総数について、結婚歴1年未満の夫婦しかカウントされていないので、意味のない算出方法と言わざるを得ません。
離婚数の実態を知るには、年間の離婚件数を基に考慮するのが適切と言えます。以上のことを踏まえ、離婚件数の中に占める新築離婚はどれほどの割合を占めるのか考察していきたいと思います。
新築離婚の原因と想定される数
前項で見た通り、年間における離婚件数は約20万件であり、その中に新築離婚に該当する案件も含まれることになります。
新築離婚とは、マイホームの建設が原因となり、夫婦の関係性が破綻してしまう状況を指します。新築住宅の取得は家族にとって幸せなことと思われますが、なぜそれが離婚原因となってしまうのでしょうか? 理由はケースによって様々ですが、共通する部分としてはマイホーム取得によりお互いの価値観の不一致が露呈することにあるようです。
近年における離婚の動機別割合を調べてみると、その中に自宅の新築という項目は見られません。つまり、年間の離婚件数約20万件の中で、新築離婚はパーセンテージに現れるほどの件数に達していないことが推察されるわけです。
新築離婚の状況は競売市場に影響するか?
前項から、新築離婚が増加しているとしても、統計上現れない程度の件数で推移しているものと考えられます。また、新築離婚が増加したとしても、それによって不動産競売で扱われる新築物件が増加するとは限らないでしょう。
新築離婚が発生したとしても、その新築住宅が即競売に流れるわけではありません。夫側もしくは妻側のどちらか一方が新築住宅に住み続けるケースも多く見られます。住宅を処分するにしても、任意売却などを利用し競売に至る前に売却されることも充分予想されます。
競売は入札方式で行われ、正規の不動産評価額が反映されません。そのため通常の不動産売買より安値で取引されるのが主です。売主側にしてみれば、通常の不動産評価に基づいて行われる任意売却で処分した方がはるかに有利と言えます。
加えて新築物件ともなれば、買い手も付きやすいことでしょう。新築離婚という理由を別としても、新築物件が不動産競売で扱われるのはレアケースであると言えます。ちなみに、2021年2月17日時点で、国内の競売入札可能物件中築年数最長1年に該当する住宅は何件あるか調べたところ、1612件中2件という結果となりました。
やはり新築物件が不動産競売に回ってくるのは稀であり、新築離婚が競売市場に影響を与えることはほぼないと言えるでしょう。
まとめ
以上のように、新築離婚の増加が不動産競売の物件状況に反映されることはほぼないであろうという結論が導き出されました。競売による住宅購入では、様々なリスクが想定されます。それらを回避するためにも、信頼のおける不動産会社のサポートを得ながら対応することが賢明です。
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