一昔前に比べて、かなり一般にも知られるようになってきた不動産物件の競売。しかし、競売で目当ての物件を落札しても、その後の明け渡し交渉のトラブルは少なくありません。
できるだけスムーズに明け渡しが進めばよいのですが、競売にかけられた人は経済的状況が厳しい人が多く、なかなかうまくいかずに簡単に明け渡すケースは多くはないと言います。占有者がいる物件を落札した場合の注意点と明け渡しまでの流れを解説します。
競売での明け渡しまでの基本的な流れ
競売にかけられる事が決まると、まず裁判所が物件の現状調査をして売却基準価額を設定します。その上で競売の入札が行われ、入札で一番高い額を付けた人が買受人になります。
買受人は裁判所から売却許可を得て、代金を納付すると「所有権」を得ます。
基本的には代金が納付される期日までに債務者(占有者)は立ち退く事になります。円滑に進んだ時の基本的な流れは以上になります。
債務者(占有者)が明渡しに応じないケース
○抵当権設定後に賃貸借契約していた場合
賃貸人は6ヶ月の猶予期間が与えられ、その後は強制退去になります。
○抵当権設定前に賃貸借契約していた場合
オーナーが買受人に変わった後も続けて借り続けられます。
買受人が物件の代金を納付して後、裁判所に引渡命令を申し立て、実際に「明け渡しの断行」(強制退去)が行われるまで一ヶ月半~二ヶ月かかるのが一般的です。
強制退去の費用は買受人が全額立替えます。最終的には債務者に請求する事になりますが、そもそも債務者は住宅ローンの支払いが滞ったことから、最終的に住宅が競売に出されている状況である為経済的に困窮しており、強制退去費用の回収は難しいかもしれません。
占有者との示談
強制退去をするには手続きも時間も掛かり、何度交渉してもなかなか出ていかないというケースもあり、かなりの時間と労力を必要としますので、債務者に立ち退き料を支払って退居させる示談のケースも少なくありません。
自ら出ていく事による債務者側のメリットとしては、
○自ら出ていく事によって強制退去の費用を負担しなくても済む。
○立ち退き料を引っ越し費用に充てられるので負担が少なくて済む。
などがあります。
このようなメリットを買受人から占有者に対して十分に説明すると交渉がスムーズに行く可能性が高まります。
空き家で占有
競売手続きでは家財等は動産となっており、処分の対象とはなっておらず、強制執行で執行官と「立会」の同行のもと、残置物等の搬出をしなければなりません。勝手に鍵を開け中に入り残置物を処分すると賠償請求される可能性がありますので注意しましょう。
占有者と債務者が違うケース
一般の方ではうまく交渉が困難なため、専門の方や弁護士に相談するのが良いでしょう。
まとめ
まず大前提として競売にかけられてしまった債務者は経済的に非常に困窮しているというのを肝に銘じて動くべきです。住宅ローンを払えず差し押さえられ売りに出される状況になっている訳ですから、債務者の心情を汲み取り細心の注意を払いつつスムーズに立ち退きが行くよう、かつ期日までには断固として立ち退きをさせるという意思を見せる事が交渉では大切です。
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