多重債務に苦しむ債務者の救済方法の一つである任意整理は、裁判所を通す事なく債務者と債権者との間の交渉で行う事が出来るため家族や会社にも秘密にでき、マイホームを手放す必要も無い事から人気が高まっています。
任意整理によって返済の完了を証明する書類として完済証明書というものがありますが、発行されるケースとされないケースがあります。完済証明書は貰っておいた方が良いのでしょうか。
完済証明書とは何か
債務整理のうち任意整理は交渉の結果、債務者の債務の返済額、返済方法について債権者との合意で成り立つものです。
合意した内容で債務者が返済を完了すれば、債務者の債務は消滅してそれ以上の借金は存在しない事になります。返済方法についても債権者との合意で行われるものであり、基本的には債務者の側で返済の管理を行っていく必要があります。
返済が完了すると、債権者から完済証明書が送付されてくる事があります。この完済証明書は債権者側から借金の完済を証する書面として発行されるものですが、必ず発行されるという訳でもありません。
完済証明書が発行されないケース
まず、債務整理のうち個人再生は裁判所が関与している事もあり、再生計画に沿った返済を完了しても完済証明書の発行はありません。
任意整理でも消費者ローンなどの利用による債務の場合には金銭消費貸借契約を締結しているのが通常であり、当該契約書の原本返却によって返済完了とする事があります。この場合においても完済証明書の発行を依頼する事で発行してくれる債権者もいます。
もし、完済証明書の発行もしてもらえるのであれば、貰っておくに越した事はありません。
クレジットカードによる高額債務について任意整理した場合には、通常、金銭消費貸借契約は締結していませんので、返済完了した場合には完済証明書が送付されてきます。もし、完済証明書が送付されてこない場合には発行の要請をされる事をお薦めします。
また、完済証明書とは別に毎回の返済についても振込依頼書や債権者の発行する領収書などは確実に残しておきましょう。
完済証明書の送付先について
家族に秘密にできるというメリットがあるため任意整理による債務整理を選択したにも関わらず、完済証明書が自宅に送られてくる事によって家族に債務整理を行った事実が知られてしまうのは避けたいところです。
この状況を回避するための方法として、任意整理を依頼した弁護士等に、完済証明書を始め郵便物等は全て弁護士等の事務所宛に送付してもらう様に手続きを依頼しておきましょう。