相続税は改正が良く行われるために注意が必要です。
平成27年の改正では相続税における基礎控除の金額が大きく減額され、相続税の対象となる相続人が増えることとなりました。
平成29年には納税義務者についての改正が行われ、納税義務者となる相続人の範囲が拡大されました。
日本における相続税
日本における相続税は高額であると良く言われます。
しかし、相続税の計算は大変複雑であるために一概に高いとは言えないのですが、高額の資産が遺産となるケースではやはり日本の相続税は諸外国と比べると高い部類に入るのは間違い無さそうです。
また、相続税は改正が良く行われますが、平成27年には基礎控除額が大きく引き下げられるなど、税収を増やす方向での改正が行われています。
平成29年に行われた納税義務者についての改正についても同様であり、国外にある財産について、日本の相続税が課税される事となる納税義務者を拡大させる方向の改正が行われました。
相続税の納税義務者
相続税の納税義務者は、相続によって遺産を取得した者というのが大原則ですが、相続人や被相続人が日本国籍を有していない、日本国内に住所を有していないなどのケースで納税義務をどこまで負うのかが問題となります。
相続税における納税義務者は大きく分けると無制限納税義務者、制限納税義務者、特定納税義務者の3つとなります。
無制限納税義務者は国内財産、国外財産を問わず全ての財産が相続税の課税対象となります。
一方で、制限納税義務者は国外財産については相続税の課税対象とはならず、国内財産のみが課税対象となるのです。
以前は相続人が国内に住所を有していなければ制限納税者となれたために、高額な相続税の課税を回避したい富裕層のなかには子供を海外に移住させ、財産を国外に移すというようなことも行われました。
しかし、国側も改正を度々行って制限納税義務者の範囲を狭めています。
平成29年の改正
平成29年の改正前までは制限納税課税義務者となる要件は、被相続人が非居住者で日本国籍を持たない相続人、相続人と被相続人ともに日本の住所を有しない状態が5年超続いた後に相続が発生した場合の相続人であることでした。
平成29年の税制改正ではこの5年の期間が10年に改正されています。
このように制限納税課税義務者となる要件を厳しくすることで、富裕層による国内財産の海外移転を阻止すると共に国内外の財産への課税範囲が広がる事となります。
このようにして相続税における納税義務者も改正によって、その範囲が変わり拡大していく方向となっているのです。