不動産基礎知識

マンション賃貸における更新料の性格

マンションを賃貸していて契約期間の満了時に更新料の請求を受ける事があります。この更新料は1カ月分の家賃相当額のケースもあれば、半月のケース、そもそも更新料の発生が無い事もあります。
マンションの賃貸における更新料とはどの様なものなのでしょうか。

更新料とは何か
更新料は契約の延長の際に請求される一時金で、家賃の1カ月~2カ月分を請求される事もあり、大きな出費となってしまいます。しかし、更新料は個別性、地域性の強いものであり、そもそも更新料がないという事もあります。この更新料とはどの様な性質のものなのでしょうか。
更新料の根拠やその意義については、最高裁判所の判決のなかで「賃料の補充や前払い、契約継続の対価などの趣旨を含む複合的なもの」と定義した上で「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法第10条により無効ということはできないとされる」としています。
すなわち契約書で更新料の定めがあり、それが余程高額でない限り有効なものであるという事です。

更新料は払わなければならない?
法的に無効でないとするとマンション賃貸で締結された契約書に更新料の定めがあれば支払わなければならないという事になります。しかし、毎月の家賃を支払った上で更新料として更に1カ月前後の更新料を支払うのは負担が大きいのは間違いありません。
地域や物件によっては更新料が無い事もありますから、支払わないで済むのであれば何とかしたいというところです。実は、更新料の支払いについて交渉する事は可能です。賃貸借契約は当事者間で有効な契約ですから、当事者間で合意されれば契約内容を変更することが出来るのです。

交渉に当たって
賃貸マンションの大家の立場からすれば更新料の収入は一時金として大きなものです。それを無くす又は減らすための交渉ですから簡単なものではありません。長く住み続けることで大家のメリットとなること、更新料が大きな負担になっており退去の可能性があることなどを率直に伝えるとともに、場合によっては周辺の物件との家賃についての比較資料を用意した上で更新料を支払う代わりに家賃減額の交渉をしても良いかもしれません。
大家が退去されるよりは、交渉に応じたほうが良いと考えれば要望が認められる可能性が高くなります。このためには普段から家賃の滞納などをせず、近隣の居住者とのトラブルも無く、居続けてもらいたい居住者だと思ってもらえる事が必要ですから、普段から心証を良くしておく事が大切です。

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