競売の入札に参加するためには入札保証金を事前に納付する必要があります。入札保証金は競売物件によって金額が異なり、期間入札後の開札の結果、最高価買受人となれなかった場合には返還されます。
売却許可を受けた買受人は入札金額から入札保証金を引いた残金を納付しなければ、代金不納付として入札保証金は没収となります。売却許可が下りたにも関わらず、入札保証金が返還されるケースにはどのようなものがあるでしょうか。
• 競売における入札保証金の役目
競売の入札に参加するためには、入札保証金の事前納付が必要になります。入札保証金の金額は売却基準価額の2割となりますので、売却基準価額が1000万円の物件であれば入札保証金は200万円ということになります。
入札保証金の金額は、公告書に記載されていますので入札に参加する場合には必ず確認をしましょう。ときに売却基準価額の2割を超えた保証金が設定されるケースもあるようですから注意が必要です。
買受人となった者が物件の残金を納付しなかった場合には入札保証金を没収するというペナルティを課すことによりいい加減な入札を回避させるのが入札保証金の役目です。
• 売却許可決定後の返還
開札によって最高価買受人が決まると、他の入札者には入札保証金が返還されます。最高価買受人の入札保証金は返還されず代金の一部に充当されることになります。
売却許可が決定された後に残金の納付をしない場合には入札保証金は没収されますが、売却許可決定前までは売却不許可、許可決定後は売却許可の取り消しを申し出ることが認められています。この申出が認められれば入札保証金は返還されますが、実際には取消などを認めてもらうことは難しいと言われています。
取消が受けられるケースとしては、自然災害などの自分の責任ではない事象によって、競売の目的物が滅失又は大きな損傷を受けた場合などが考えられます。このようなケースなどで売却不許可、許可の取り消しとなれば入札保証金の返還を受けることができます。
• 入札は慎重に
以上のように入札保証金の取扱いは厳しいものとなっています。実際に落札をしてみて物件を確認したら思っていたものと違う、内装の傷みが激しく考えていた以上に修繕費が掛かるというような自己都合による理由によって取消などをして入札保証金の返還を求めても認められることは殆どありません。
競売物件の入札にはそのようなリスクがあることを十分に認識した上で臨むことが大切です。