不動産をやむなく競売にかける所有者(又は債務者)のみなさんへ、売却するまでの様々な費用についてどのくらいかかるのか心配になると思います。それでなくとも、お金の出費は避けたい状況です。今回は、競売における諸費用の負担について紹介します。
■競売の手続き費用の内容
競売の申し込みを行うと、大きく分けて「競売申立て費用」と、「強制執行費用」における立ち退き費用などがあります。
通常の場合は、担保として差押えされている不動産を、債権者である金融機関や保証会社が、競売の申立てに踏み切ることになります。勿論、所有者本人が売却する権利が残っている場合には、自ら申し込むことも可能です。
◎競売申立費用の内訳
費用のほとんどは、予納金と登記費用が占めています。
①「競売の申立て費用の予納金」は、競売の実行における費用で、「差押の嘱託登記手続き」にかかる費用、「現況調査報告書」や「評価書の作成費用」、「売却実施処分公告」「各種書面の郵送代」などが支払われます。
◎「予納金・費用の参考例」として
・2,000万円未満ならば、60万円が「予納金」
・2,000万円以上5,000万円未満では100万円
・5,000万円以上1億円未満に対しては150万円
・1億円を超える金額に対して200万円
となる実例があります。
※各裁判所によって詳細が異なります。
②「強制執行費用」
強制執行には「執行官手数料」や「立会費用」などがあり、他にも交通費や通知の郵便代等があります。立ち退きが決まったら、引っ越し費用など数10万円が必要になるでしょう。
◎「強制執行費用の参考例」
・強制執行申立時予納金が約7万円
・催告時 執行補助者日当が約2万円
・催告時 カギ解錠費用が約1万円
・断行時 執行補助者日当が約3万円
・断行時 カギ交換費用が約2万円
・断行時 家財道具等 撤去費用が約数10万円かかります。(所有する家財による)
■予納金の負担は債務者のもの
差押えになる場合の登記や登録免許税などの費用を、債権者である金融機関や保証会社などが負担しますので、予納金を含めて競売にかかる手続き費用は、債務者または所有者が負担することになります。
例えば、費用を立て替えた代金は売却された代金から、差し引かれて返還されることから結果的に債務者の負担なのです。競売における一般的な取引価格は、市場価格の7割位となっています。その金額から予納金などの諸費用が差し引かれるので、債務者に残る費用はさらに少なくなり、返済に充てる金額も減ることになります。
競売で落札が決定したら2か月位で、強制退去になることがあります。自ら先のことを考えるならば、引っ越し費用の確保を考えるべきでしょう。
■まとめ
競売にかけられると、本人の希望がかなうことは困難になります。競売にかかる手続き費用も、少なくとも100万から200万くらいかかる見通しです。
任意売却が可能であれば、競売より高く売却できますし、売却期間も半分くらいすむことも可能です。何よりも自己負担となる金額が、ほとんどないことです。これを機会に「任意売却」を是非ご検討ください。
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