不動産基礎知識

競売で期間入札の後に行われる特別売却とはどのようなものか

裁判所による不動産の競売は、通常は期間入札という方式で行われます。この期間入札によって落札者が現れなかった場合に特別売却が行われます。この特別売却とはどのような特徴を有した方式なのでしょうか。

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■特別売却はどうして行われるのか
裁判所で不動産の競売が行われる場合、1週間程度の入札期間を設定して入札を募る期間入札という方式が採られます。この期間入札で最も高額な入札を行った人が「最高価買受申出人」と定められます。

問題が無ければ、後日、裁判所によって売却許可が決定し、最高価買受申出人は買受人となり、代金を完納すると買受人は所有者となります。もし、買受人が納付期限内に代金を納めなければ買受人は権利を失い、「次順位買受申出資格者」である2番目に高い金額で入札を行った者が買受人となります。

しかし、期間入札において入札が無い場合や適法な買受けの申出が無かった場合には買受人となるものがいないことになります。このような場合に特別売却が行われることになります。

■特別売却とはどのような特徴を有しているのか
特別売却は入札と異なり、特別売却期間内に最初に売却基準価額の8割相当の買受可能価額にて買受を申し出た人に売却するという方式です。すなわち早い者勝ちという特徴を有しています。後れた者が高額の申し出をしても買受人になることはできません。したがって価額の競争は起こらず、代金は買受可能価額となります。

特別売却には、条件付特別売却と上申による特別売却の2種類がありますが、どちらも先着順で買受けの権利を得ます。同時に買受けの申出があった場合にはくじ等で買受申出人が決められます。

■特別売却による買受は安く買えるから有利?
特別売却であれば、買受けは買受可能価額で行うことができるため一般市場よりも相当に安い水準となります。しかし、期間入札であっても買受可能価額での入札ができることを考えれば、買受人が現れなかったということは、現れないだけの理由があると考えるべきでしょう。

例えば下記のような案件は入札が避けられる傾向にあります。
・建物の老朽化が進んでいるにも関わらず法的な問題を抱えているため再建築ができない。
・物件の明渡しに手間が掛かりそうな入居者がいる。
・境界問題など近隣との間でトラブルが発生している。

このような問題を持つような物件は、買受をしても自己使用できるようにすることや、転売することが難しく、買受可能価額でも高いと思わせるのです。
逆にこのような問題が無い物件であれば、競売ではなく通常の売却や任意売却を行うことで、相場通りの価額で売却できる可能性が高い物件であると考えられます。

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