競売で物件が売却許可決定されると落札されて、買受人が代金を裁判所に納付した時点で所有権が移転することになります。その後、回収された売却金は、どのような形で支払われるのか配当や期日、立ち退きなどについて調べていきましょう。
競売開始から立ち退きまでの流れ
売却開始から退去までは次の順序になります。
売却許可決定期日・売却許可決定→代金納付期限日=所有権移転日→競売配当表の作成→裁判所による配当期日の定め→配当を受ける資格のある債権者と提出書類→配当期日にすべきこと→配当順位→配当への異議申立て→配当の施行→住宅からの退去
下記に内容説明をします。
売却許可決定と売却許可決定期日
売却許可決定期日は最高価買受申出人に対して、不動産の売却審査をした上で売却許可、不許可決定を下す手続きを裁判所執行官が定めた期日です。
代金納付期限日=所有権移転日
裁判所から買受人に対して、代金の支払い通知が特別送達で届きますので、届いてから1ヶ月後が代金納付期日になります。買受人が期限日までに納付すると、住宅の所有権は買受人へ移動します。
競売配当表の作成
競売確定が決まると、受取資格債権者の配当期日や弁済交付日を決めた配当表を、裁判所が制作します。
裁判所による配当期日の定め
不動産の代金が納められると、裁判所が配当期日を決めます。裁判所から債権者に対し、1週間以内の債権額の計算書提出請求をします。
配当を受ける資格のある債権者と提出書類
配当を受ける資格のある債権者は以下の4種類です。
・差し押さえされた債権者
・配当要求したされた債権者
・差し押さえされる前の仮登記を持っている債権者
・差し押さえされる登記前に抵当登記した債権者
配当表は期日に決まる
配当期日に、配当を受ける債権者全員と債務者が裁判所に呼ばれます。裁判所の制作した配当表に基づいて、債権者と債務者に示されます。異議のある申請者に対して、裁判所が質問や書類を調べ、債権額の確認と配当や優先順位の度合いなど配当表の内容を決めます。
配当順位
配当される順位は、民法や国税徴収法等により決まっています。
・第1順位:共益費用たる執行費用(手続費用)
・第2順位:公租公課
・第3順位:抵当権等によって担保される債権
(※租税公課の法定納期限等以前に登記されたものは、租税公課に優先する。)
・第4順位:優先権のない一般の私債権(勝訴判決や和解調書等の債務名義により認められた債権)
配当への異議申立て
配当表に納得がいかない場合は、裁判所へ配当異議の申し出をします。
配当の施行
債務者に裁判所から、配当期日呼出状が特別送達で送られてきます。
異議の申し出がなければ、配当期日に施行されます。配当期日に裁判所へ出頭しなかった債権者の配当額は法務局で保管されます。
住宅からの退去
買受人が入金を済ませた時点で、明け渡しをしなければなりません。引っ越し料金や立ち退き料金は支払われません。強制執行をすることで退去につなげます。
退去しない場合
債務者が競売物件を引渡さずに立ち退かなければ、裁判所へ引渡命令を申立て、法的手段を行使して、強制的に退去となります。
引渡命令申立て
裁判所は、競売物件の引渡を債務者に指示します。引渡命令で立ち退かない場合に、法的な手段で不動産引渡命令の申立てをして引渡しを受けることができます。
①引渡命令の発令
②引渡命令送達
③引渡命令確定
この順番で住宅を明け渡すことになります。
執行官への強制執行の申立て
不動産引渡命令が行なわれても居座り続けると、強制執行が段階的に行なわれます。
【執行官との面談】
最初に執行官と買受人が面談をします。2週間~3週間以内に執行官が、下記者を同行して強制執行の予告に行きます。
・解錠技術者
・強制執行業者
・立会人
不在の場合でも期日を決定します。
【断行】
催告の日からおよそ1ヶ月以内に断行日を決めます。断行期日までに明け渡しをしなければ、強制執行が断行されます。強制的に不動産の引渡が行なわれる場合、家財道具一式は倉庫に1ヶ月間保管され、持っていかなければ売却処分されます。
まとめ
競売終了後、債務者の住宅を処分した売却代金から、裁判所の手続きで債権回収され配当から退去までの流れの順序で立ち退かなければなりません。住宅に居座ったとしても強制的に退去させられます。
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