競売物件を落札した後も、その場所に不法占拠する住民がいる場合も少なくありません。そのような場合に対処するには、強制執行が必要になってきます。今回は、競売の落札後の進行と強制執行費用について紹介します。
競売物件が落札後の状況
競売物件は、多くの場合が所有者である持ち主が、住宅ローンの返済が出来なかったり、借金の担保となったりして、住宅を住人の意思とは関係なく売られる場合も少なくないのです。所有者だった住人は行く当てもないし、住居を移る費用もないのです。ひどい時には、毎日の生活にも困っているはずです。しかし、競売にかけられて落札代金を支払った段階で「買受人」の所有物になってしまいます。
「買受人」は、不法占拠に対して強制的に行動を起こす事は出来ないのです。裁判所に対して建物明渡請求訴訟を行い、裁判で勝訴してから、「強制執行」の申請を裁判所に手続きします。競売物件で全て訴訟するには、時間のかかる事になり半年以上かかる場合もあります。この場合は、「不動産引渡命令」を申し出る事で、短期間で受ける事が可能です。
引渡命令発令後の強制執行について
裁判所は「引渡命令の発令」を、買受人と居住者に対して通知する事になります。通知を受け取ってから1週間以内に居住者が不服申し立てを行わなければ、引渡命令が確定する事になります。買受人は、代金を納付と同時に「引渡命令の申し立て」行うと、引渡命令が決定するのが3日程度です。住民の不服がなければ10日位で、強制執行が可能になっています。
1-執行官による明け渡しの催告
買受人と執行官は、打ち合わせをして「強制執行の明け渡しの催告を行う日」を決めて、「実際に強制執行を断行する日」を決めます。住人の荷物を移動させる為の、業者の依頼などを行います。打ち合わせから2週間くらいで明け渡しの催告によって、競売物件を訪問して、居留守や住人の拒否に関係なく、入室して家財道具の運び出しや荷物の搬送などを、見積もりを出してもらいます。
2-強制執行の断行日に強制退去
明け渡しの催告からおよそ1か月後に強制退去を行います。執行官や強制執行業者が来て鍵屋が鍵を開けたりして、住人の荷物を全て運び出します。
強制執行の費用について
出来れば、住人との話し合いで立ち退くのがベストなのですが、不法占拠するくらいなので、お金も行く当てもないのです。引渡命令の申し立て費用と業者などの手配を行う為の代金として予納金として10万円位と、荷物の運び出しとゴミなどの残り物の整理に費用がかかるのです。全ての費用を考えると、荷物が少ない場合でも約50万円かかるので、荷物が多い場合には、数百万円かかるといわれています。
まとめ
強制執行の費用は、競売物件の規模や荷物などの量によって変わってきます。一概にいえませんが、予納金と荷物を運び出す業者の費用等をおよそ50万円以上と考えた方が良いです。その費用も含めて競売に取り組むべきでしょう。
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