裁判所で行われる競売は、期間入札によって行われます。一般の不動産売買市場の価格水準の5割程度の売却基準価額が提示され、買受希望者は売却基準価額の8割以上の価格で入札を行う決まりとなっています。すなわち市場の4割程度の価格から買受が可能ということになりますが、それでも買受が決まらない場合には、特別売却という手続きが取られることとなります。この特別売却とはどのような売却方法なのでしょうか。
早い者勝ちの特別売却
期間入札を行っても買受人が現れない場合、裁判所は特別売却という手続きを取ることになります。1~2週間程度の期間入札を経ても買受人が現れなければ、東京地裁では開札期日の翌日から1週間程度の期間が特別売却期間となります。
なお、入札期間などは物件や裁判所によって異なりますので注意が必要です。
この特別売却ですが期間入札とは異なり、価格を競うことは基本的にはありません。特別売却期間に買受可能価額以上の価格で適法に買受申出を行った時点で落札が決定します。
このため買受金額は買受可能価額で足り、早い者勝ちで買受人が決まるということになります。あとから高額の申出を行っても買受人になることはできません。同時に買受けの申出があった場合には入札やくじなどで買受人を決定することになります。
特別売却でも売却できなかったら
特別売却を行っても買受人が現れず、売却が決まらない場合があります。このような場合には、裁判所は売却基準価格の見直しを行って再び期間入札のやり直しを行います。
具体的には売却基準価額を2~3割下げるのですが、これにより買受可能価格も同様に下がることになります。価格のハードルを下げて売却可能性を高めるのが目的です。
2回目の期間入札でも売却が出来ない場合には、2回目の特別売却が行われることになります。それでも買受人が現れなければ、同じ流れで3回目の期間入札と特別売却の手続きに進むことになります。
3回目の特別売却によっても売却が決まらなかった場合には、裁判所は売却の見込みがないとして強制競売の手続きを停止させることができます。
売却できない物件には何らかの問題がある?
特別売却を行っても買受人が現れないということは、物件の権利が複雑など何らかの問題があるケースが多いです。この問題点を解消することができれば、特別売却よりも高く売却できる可能性が高くなります。
競売の申立てを行った債権者と交渉して任意売却に切り替えることも買受人が現れなかったことで可能です。2回目の期間入札となると更に価格が下がってしまいますので、任意売却の検討、準備をしていた方で間に合わず開札日を迎えてしまった方などは競売の取下げの交渉としてみてはいかがでしょうか。