不動産基礎知識

競売物件における固定資産税等の取扱いについて

通常の不動産売買においては固定資産税や都市計画税は売主と買主で売買を行った日を基準に日割りして清算することが行われますが、競売で売却された物件についてはどのような取り扱いになるのでしょうか。

LP_banner_02

固定資産税の取扱い
土地や建物などの不動産を所有していると毎年固定資産税や都市計画税(以下、固定資産税等)が課税されます。固定資産税等は市町村によって課税される地方税です。固定資産税評価額から課税標準額を求めて税率を乗じて求められ、毎年1月1日時点における所有者に納税義務があります。
このため仮に5月1日に不動産が売買された場合には、5月1日までの固定資産税等を売主が負担し、5月1日からの固定資産税等は買主が負担するといったような精算が行われるのが通常です。

不動産競売における固定資産税
不動産競売は裁判所によって強制的に売却が行われ、競売不動産の買受希望者は所有者との間で何らかの交渉も接触も持つことなく、落札希望価格を入札すれば良く、一番高い金額で入札した者が落札者となります。
この場合に落札者と所有者との間で固定資産税等の精算は行う必要があるのでしょうか。もし、行うとしたならば按分の期日は競売開始の決定日でしょうか、開札日でしょうか、それとも所有権の移転日となる落札代金納付の日でしょうか。
実は、競売不動産の売買における固定資産税等は、競売不動産の所有者だった者が負担することになっており、落札者に負担義務は無いことになっています。したがって所有者と落札者との間で日割り計算を行って精算する必要はありません。
このことは過去に裁判になったことがあり、競売不動産の評価が競売物件の所有者が固定資産税を負担することを前提としていることなどを理由に落札者が固定資産税等を負担しないことは何ら不当利得に当たるものではないという判断を下しています。マンションなどの管理費の滞納については落札者が負担することになりますが、固定資産税等は取り扱いが異なることに留意しましょう。
競売資料である物件明細書にも、マンションの管理の滞納については記載があっても、固定資産等税については記載は通常ありません。

落札代金の納付のタイミングで変わる費用負担
競売不動産の固定資産税等は毎年1月1日を境にして1年分の費用負担が変わってしまいますので注意しましょう。
一方で競売不動産の所有者にとっては、住宅ローンなどの滞納をしてしまうほどの状況であっても固定資産税等の支払いは免除されるものではないということになりますので、支払いの優先度を高くすることが大切だといえます。

LP_banner_02

ピックアップ記事

  1. 実は厳しい税金滞納への対応
  2. 不動産の投資で不労所得生活を始めていくために考えること
  3. 後妻の子の相続における取り扱い
  4. 住宅ローンによる隠れ貧乏にならないために
  5. 不動産売却における委任状取り扱い説明書

関連記事

  1. 不動産基礎知識

    住宅ローンの支払いの督促を受けたなら

    長い期間に渡って返済を続ける住宅ローンですが、ときには思わぬ出費のため…

  2. 不動産基礎知識

    競売における交付要求とは何か

    抵当権が設定された物件について競売の申立てが行われると、裁判所によって…

  3. 不動産基礎知識

    住宅ローンを組む際ボーナスを併用して支払う割合

    住宅ローンを組む際の返済方法は、毎月支払う方法と、ボーナスを併用して支…

  4. 不動産基礎知識

    競売の「基準価格」はどのように決められているか?

    競売の大きな魅力は「安さ」です。それでは入札の基準となる価格は、どのよ…

  5. 不動産基礎知識

    競売を実行された債務者が負うリスクとは?

    競売の実行におけるリスクというと、競売物件に潜むリスクや明け渡しのリス…

  6. 不動産基礎知識

    不動産 競売物件で使用する用語を理解しましょう

    競売物件とは、裁判所で競売にかけられる土地や住宅、不動産のことをいいま…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 離婚と不動産

    家を建築中に離婚することになった時の対処法について
  2. 任意売却

    どうやるの?!任意売却の手順と流れ
  3. 任意売却

    任意売却において、引っ越し費用は誰が負担する?
  4. 任意売却

    共有持分の任意売却について
  5. 賃貸オーナー様

    マンションを管理する法律とその内容について
PAGE TOP