最高裁判所がまとめる司法統計によると、競売件数は減少の一途をたどっています。しかし一方で、任意売却の件数は増加の傾向にあるのです。これは一体なぜなのでしょうか?今回はその理由について考えてみます。
司法統計とは?
裁判所が取り扱った事件のデータを集計したもので、最高裁判所事務総局が結果をまとめています。その後、司法統計年報および司法統計月報として刊行され、裁判所のホームページにも記載されるので、個人でも自由に閲覧することが可能です。
なぜ競売件数は減少し、任意売却は増加しているのか?
最新のデータである2021年までの公告を見ると、競売の件数は全体的に減少傾向へ推移しています。最大の引き金は、2008年に起こったリーマン・ショックによる世界的金融危機の影響によると、一般には分析されます。
これを受けた政府による施策が、競売件数の減少に拍車をかけ、任意売却増加の流れを作ったと言われます。つまり「競売件数減少」と「任意売却増加」の二つの現象は、絶妙にリンクしているということです。
中小企業金融円滑化法とは?
モラトリアム法と通称されるこの法律は、リーマン・ショックによる金融危機を受け、翌2009年に成立しました。その内容は、住宅ローンの返済に困窮している中小企業や個人に対し、一定期間の猶予を与えるというものです。
これによって、住宅ローンの破綻者を最小限に食い止めることができ、また、金融庁は金融機関への積極的な施策への参加を指導しました。これらの結果として、競売件数は減少して行ったと推察されます。
法律終了後も競売件数が減っていった理由
中小企業円滑化法は当初、2年間のみの期間が設けられていましたが、二度の延長を経た後、2013年の3月末日をもって終了しました。
しかしその後も、金融機関は債務者に対し、強制的に競売にかけるようなことはせず、猶予期間を設けるなどの柔軟な対応を行っています。ここから、競売件数の減少が一時的なものではなく、その後も続くように推移したと考えることができます。
任意売却はなぜ増加した?
この最大の理由については、インターネットの普及によって、任意売却の存在を知る人が急増したことが考えられます。また今では、不動産会社が任意売却の専門アドバイザーを置くことも多くなりました。
債務者としても、「競売にかけられる前に売却した方が良い」と考えていると言うことです。不動産会社としても、住宅ローンの返済に困窮している人を、サポートするというスタンスを取るようになって来ているのです。
まとめ
競売件数の推移から、その減少と任意売却の増加の理由について考察いたしました。住宅ローンの返済に悩んでいる人は、不動産会社に相談してみる事をお勧め致します。
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