住宅ローンの返済期間中に転勤などの理由によって引越しせざるを得ない状況というものがあるかと思います。しかし、住宅ローンの完済前に転居しても問題は無いのでしょうか。また、引越し費用の工面についてみてみましょう。
■ 住宅ローンの完済前の引越し
住宅ローンによる融資は、自宅を購入することを目的として行われます。引越しをするということは、住宅ローンの支払いを行っている住宅が自宅ではなくなってしまうことから問題にならないのでしょうか。 転居の理由が会社都合による転勤や遠くに住む親の介護や世話ということでやむを得ないと思われるものであれば、引越しが問題になるケースはあまり無いと思います。しかし、一時的な転居で自宅はあくまで住宅ローンで取得した住まいであることを前提とします。
■ 任意売却や競売による引越し
転勤などとは事情が異なりますが、住宅ローンの返済ができなくなってしまった結果、任意売却や競売によって自宅を手放すことにより引っ越さざるを得ないケースもあります。引越し自体にも相応の費用がかかります。会社による転勤であれば、会社が引越し費用を支払うことでしょう。しかし、住宅ローンの支払いができないために引っ越すとなると、もともと資金に余裕が無いなかでの工面となるため思うように準備できないということもあるかと思います。
■ 任意売却では引越し費用が認めてもらえるケースも
自宅を売却しても住宅ローンの残債が発生する場合の売却方法は、大きく任意売却と競売の2つの方法となります。任意売却では、債権者の承諾を得て売却活動を行います。そして、売却の代金から諸費用を控除した金額を住宅ローンの返済に充てることとなるのですが、債権者との交渉の結果、この諸費用のなかに引越し費用を認めてくれるケースもあります。ただし、引越し費用を認める義務が債権者にあるわけではないので、債権者の善意にすがるものです。一方、競売では引越し費用などの交渉は競落人と行うことになるのですが、競落人が引越し費用を出すということはほとんどありません。競落人は転売目的の業者の方も多く、余計な経費負担は利益の減少につながるため義務がなければ基本的に負担はしません。 任意売却にせよ競売にせよ、引越しをした後には新しい生活をスタートさせなければなりません。新生活のスタートには色々とお金が必要となります。引越し費用分を他の支出に回せるだけでも精神的な余裕が生まれます。 任意売却を選択するということには、引越し費用の点でも競売よりも有利になる可能性があるということを知っておきましょう。