財産や住宅の強制的な差し押さえは、何を基にどのような方法でおこなわれるのか?について考察していきましょう。
■民事執行法の説明
◎民事執行法は民事執行に関する法規(国によって制定された様々なルール、国民を拘束することができるもの)のことをいいますが、民事執行では私法上の権利を、国家権力によって強制的に執行する「強制執行」、「仮差押え」、「仮処分の執行」、「担保権実行の競売」、「形式競売等」について規定した法律です。民事執行法には裁判所法、執行官法、民事訴訟費用等に関する法律や民事執行規則なども含まれます。
■不動産競売における、強制執行と担保権の実行
◎貸付金の回収を裁判所の手続きを利用しないで、任意請求による支払いによって解決できる場合もあります。ですが、任意請求の支払いに応じない場合には、債権者の申立てに基づき裁判所の仲介を経て、民事執行法上の強制執行と担保権の実行を、不動産執行と債権執行により金銭回収をおこないます。強制執行手続と担保権の実行手続は、債務名義の要否の違いはありますが、申立て手続はほぼ同じです。
【強制執行手続き】
強制執行手続きは、裁判所での判決結果や、債権者との和解が成立したにもかかわらず、支払いをしなかったり、建物等の明渡しに応じなかった場合に、債権者の申立てに基づいて、債務者に対する請求権を裁判所が強制的に執行する手続きのことです。
【担保権の実行手続き】
担保権の実行の手続きは、債務者の財産(抵当権)などの担保権を競売にかけて、財産(抵当権)を得る手続きです。この場合、債務名義は必要ありませんが、担保権が登記されている登記簿謄本などの提出があれば、裁判所は手続きをすることができます。
◎不動産執行と債権執行
【不動産執行】
債務者が所有する不動産(土地や建物)を強制執行により差し押さえ、競売によって金銭回収をすることです。
【債権執行】
債権者が債務者に債権(請求債権)を請求できる権利(金銭債権)で、強制執行の差押えにより、債務者の債権(差押債権)で第三債務者から直接債権者が弁済の支払いを受けることです。
◎国税徴収法の説明
国家機関(滞納税庁)が、国税徴収法の規定に基づき、滞納税金の回収のため、強制的に差し押さえた動産(不動産以外の現金や家財など)や不動産を、入札や競り(公売)にかけて売却し、回収金を滞納分に換価して充てることです。いわゆる国税徴収法上の滞納処分における、財産換価処分や民事執行法での競売などです。
公売は、公正さを保証するため、入札またはせり売りの方法でおこなわれます。一定の期間内に公売公告をおこない、入札希望者に公売の通知等で、公売財産の見積価額(最低入札価額)を、公告しなければならない決まりがあります。
■競売と公売の違い
競売と公売は、債権者の債権回収の目的を図るために、動産・不動産を売却する方法ですが、自分の意志ではなく他人の意思で財産や住宅が売却されてしまいます。借金の滞納や税金滞納で、家が競売に掛けられるという話を聞いたことがあると思いますが、同じような言葉に公売があります。
【競売】
借金の滞納や支払が困難になって家が差し押さえられる場合に使われ、債権者が裁判所に申し立てをした上で執行されるもので、債権者は銀行や民間の個人事業者です。
【公売】
税金の滞納がある場合に差し押さえをされ、国税徴収法に定められた、国税局や税務署の徴税手続のひとつで、所得税や住民税は自治体により、裁判所を通さずに執行しますが、担保不動産の競売は、民事執行法に基づく強制執行手続で、主催者は担保不動産の所在地の地方裁判所になります。
また、税金の滞納は、自己破産による公売での免除はありません。
■まとめ
競売や公売は動産・不動産の強制競売による売却の一つです。不動産売却に関して競売と公売の違いや、不動産情報の知識は必要です。
不動産のことに関して何か疑問やお困りごとがありましたら、お気軽に「アブローズ」までご相談ください。