不動産を自分の意志以外で売却される場合があります。このような場合には「競売」や「公売」によって不動産が売却されて負債の返済に充てられることになります。では、競売と公売の違いとは何でしょうか。その違いについて紹介しましょう。
■競売って何?
競売には、強制競売と任意競売があります。不動産の住宅ローンの支払いができずに、負債の担保となっている不動産を競売によって得た金額を負債の回収に充てることになります。金融会社や保証会社が債権者となって、裁判所に対して「差押え」や「競売」の申請を行います。
■公売って何?
公売とは、税金を滞納することによって、督促や勧告に応じない場合に、税務署によって差押えを行って、それでも税金の支払いが行われない場合に対して税金の支払いに充てる為に不動産を売却することを「公売」といいます。
実行するのは、税務署や自治体の納税課が中心となります。
■競売と公売の違い
競売は「民事執行法」による競売の為の法律によって規定が行われます。一方、公売は「国税徴収法」による法律により規定された法律となります。両方ともに債権の対象となって担保である不動産を売却することで、負債の支払いに充てられることは同じです。
競売が借りたお金に対する最終的な手段であることに対して、公売は、国民の義務として支払うべき税金の回収が目的になっています。
■競売と公売の物件の告知
①競売物件
競売と公売の物件を選ぶ場合の情報の告知は、異なっています。競売の場合は、裁判所が裁判所内での公示やインターネットでも告知を行っています。また「不動産競売物件情報サイト」によって全国の競売不動産の情報を得ることができます。
競売では、3点セットと呼ばれる資料によって詳しい情報を調べます。
②公売物件
公売の場合は、国税局であったり、地方自治体であったりするので、それぞれの税金の対象により告知の仕方も独自に行います。国税庁の場合は、公売物件サイトが用意されており全国の公売物件の情報を得ることができます。
自治体での公売物件に関しては、それぞれの地域の公売物件に対して、自治体のサイトによる公開を行っています。自治体によっては、Yahoo!やアットホームのサイトで公売広告を出す場合もあるので確認が必要です。
公売公告の情報には、作成する職員によってバラツキがあるので詳しい情報を得ることが難しい場合もあります。
■競売や公売による保証金
競売や公売の手続きを行う為には、「保証金」の支払いが必要となりますが、その金額に対しても違いが出てきます。
・競売の保障金は、売却基準価額の2割が必要
・公売の保障金は、見積額の10%以上の金額が必要(見積額が低い場合に限って20%の保証金が必要になる場合もあります。)
■落札した物件の引き渡し
公売による落札では、国や自治体が直接の関与ができない為に、落札物件の居住者に対する「不動産の明け渡しの訴訟」を起こさなければなりません。民事訴訟の勝訴判決を得た後で、引き渡しの処理が行われるので、複雑になっています。
競売の場合は、強制執行によって「引き渡し命令」を行うことができます。競売の方がスムーズに行われる可能性がありますが、公売は裁判で勝つことが前提となりトラブルの原因を含む為に引き渡しが容易ではないようです。
■まとめ
競売と公売は、似たような形式で売却されますが、どちらにしても、税金の滞納分は売却後も、破産宣告の後も支払いの義務が残ることです。競売においては、専門的な知識や法律による解釈も必要ですので、専門的な対応がのぞめる不動産業者に依頼することをお勧めします。
不動産のことに関して何か疑問やお困りごとがありましたら、お気軽に「アブローズ」までご相談ください。