競売でどのような時に、特別代理人が必要になってくるか?また、どのような人が、どのような状況で必要とするのかがよくわからないという方のために、特別代理人について書いていきましょう。
競売申立ての前と後
とりあえず、「特別代理人」とは?
ざっくりというと、裁判所によって「特別にその手続きのために選ばれた代理人」の事です。
また、逆にいうと裁判所で決められた手続き以外はできません。その手続きが終われば任務は終了となります。(代理人の選任事由によって手続きが異なります)
「競売申立ての後」の場合/h3>
下記にて具体的な例をあげて、お話しましょう。
【不動産競売の所有者が、亡くなり相続人がいなくなった場合】
土地は母が所有し 建物は息子が所有。母が亡くなり、「第一位相続人」である父は既に鬼籍。息子を含む兄弟は財産を放棄。「第二位相続人」はいない。「第三位相続人」は「債権者代位」で相続登記が済んでいる。「担保不動産競売開始」が決定されて、「担保不動産競売開始決定正本」を受け取る。その後、全員が相続放棄を行う。
この場合の「債権者」が行う手続きの流れ
1.「債権者代位権」の行使
債務者の強制執行の対象となるものを守る制度です。これらに従い、相続を理由(原因)とする「所有権移転の登記」の代位登記をしなければいけません。
2.「相続財産管理人の選任」の申立
裁判所に「相続財産管理人の選任」をしてもらわなければいけません。
「相続財産管理人」
選任の申立てをして決まったあと、「相続財産管理人」に対しての報酬を支払わなければなりません。報酬は換価した相続財産から支払われるのですが、相続人が全員放棄するような不動産ですから、担保割れしていると予想されます。
つまり、他の相続財産も見込めない余剰もないという状況です。そうなった場合、申立人が報酬担保のために納付した「予納金」から支払われます。(最低報酬額100万 東京家庭裁判所)
こうなると、競売手続きを進めるために払う費用でマイナスになり、割に合わなくなる可能性が高いといえるでしょう。
「競売申立ての前」の場合
「競売申立ての後」と同様に、基本的には「相続財産管理人の選任」の申立をしなければなりません。この場合は、申立て債権者が報酬(予納金)のほかに、競売費用も負担しなければならなくなる可能性が高くなります。
「特別代理人」の選任
ここで、「特別代理人」の可能性が出てきます。(前提として必ず認められるわけではありません)
「特別代理人」報酬
また、「特別代理人」の報酬は5万(消費税別)となっています。共益費あつかいで換価されたものから支払うことができる。「相続財産管理人」と比べると報酬が少額なので、債権者にとっては「特別代理人」に進めてもらいたと思うのは当然ですね。
「競売申立ての後」の場合は「特別代理人」が認められる?/h3>
結論からいうと、認められる可能性があります。「特別代理人」が認められる事由としては、「相続財産管理人の選任」を待っていたのでは、時効による消滅などの損害がでる恐れがある場合等。「特別代理人を必要とする極めて例外的な場合に限り、特別代理人を選任すること」とされているためです。
「競売申立ての前」の場合は「特別代理人」が認められる?
特別代理人を選任する場合、あくまで競売手続きにおける代理人なので、相続財産名義への表示変更登記ができないという問題があります。
債権者が、「競売申立て受理証明」代位原因を証明する事で、「相続財産法人への変更」を申請すれば代位登記が可能になることもあります。と回答していることから、「特別代理人選任」の可能性があると考えられます。しかし、現状「東京裁判所民事執行センター」では取扱件数が多いことなどから難しいようです。そうなると、他の裁判所も東京に合わせてしまうため、認められる事があると回答していますが、とても厳しいということです。
まとめ
このような、ケース(相続人がいない)はこれからも増えていくと考えられます。「特別代理人選任」の可能性が高くなってくれるとよいのですが・・・。
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