競売で取引される物件について、値段が安くなっている事について疑問に思う事もあると思います。今回は、何故値段が安いのか、競売の評価額と売却基準価額の関係を交えて紹介してみましょう。
■競売の評価額とは
競売が行われる事になると、裁判所が依頼した不動産鑑定士によって競売物件の評価額を出す事になりますが、その価額の求め方としては、一般の市場に出回っている値段を出した後に、減価率を検討して差し引いた値段が「評価額」となっています。
◎減価率に反映する事由とは
競売物件は、通常の取引と違う点が、値段にも反映されます。例えば、住居の管理状態がずさんで、ゴミだらけだったり壁や床に破損があったり、住居の状態が不完全なままで取引される事があたりまえとなっています。
落札後購入しても、入居者に対する明け渡しの処理などに、かかる費用もバカにできないのです。競売物件は金額を一括で支払う事なども含めて、減価率を査定して「競売の評価額」を提示する事になります。この値段には、市場価格よりも2割から3割の減価が行われていいます。
■競売の評価額の決定をするには
裁判所から評価命令を以下の5つで、評価の決定をする事になります。
①競売不動産の確定を行う
不動産の評価を登記簿や公図等を元に確定します。土地の評価には、所在地や地目、地積等です。建物の評価には、所在地や家屋番号や床面積等です。
②競売不動産の確認事項を行う
現場で実際に調査する事で、土地の地積を測定したり,隣接地との境界状況の把握をしたりします。建物については、間取り図を作成したり、老朽化の進行状況や、増改築の有無の確認をします。
③評価資料の収集・分析を行う
評価資料を広く収集し細かく分析する事で評価の制度に役立てます。
④価格形成要因の分析を行う
一般不動産の価格に対して、人口や経済要因などと、生活利便性や商業集積度などを考慮して、形状,角地なども対象になりますが、他の要因として、競売所有者の協力が得られない事も加味した価格を判断材料とします。
⑤評価手法の適用を行う
評価額の規則に従って、原価法や取引事例比較法と収益還元法等を元にして評価を行います。
※これらを評価書の作成に記載する事になり、競売の評価資料として閲覧する事になるのです。
■競売の売却基準価額とは
裁判所は「競売の評価額」を参考にしてから、独自に「売却基準価額」を決定する事になります。「競売の評価額」は、入札の値段を決めるために参考にする金額となっています。
競売では「最低の売却価額」があって、その金額に満たない値段は、落札する条件を満たさない事になります。「最低の売却価額」は、現在、「買受可能価額」となっています。その値段は、売却基準価額に対して20%下回る金額が最低限度の「買受可能価額」となっています。つまり、8割以上の金額でなければ落札ができないと言う事なのです。
■まとめ
競売の評価額と売却基準価額の関係について紹介しました。評価書の元となる評価額に決定には、細かい調査といろいろな要素が含まれている事がわかります。しかし、実際の競売の買受に必要な価額は、「売却基準価額」と「買受可能価額」が重要という事が理解できます。
不動産のことに関して何か疑問やお困りごとがありましたら、お気軽に「アブローズ」までご相談ください。