債務者や占有者に競売物件から出て行ってもらう場合に、「強制執行」を利用することもあります。しかし、競売の強制執行の流れや、期間、などわからない事が多いですね。今回は「強制執行」について順をおって見ていきましょう。
強制執行までの流れ
1. 買受人が落札し、裁判所に代金を納付(この時点で所有権が買受人に移る)。
2. 買受人は、「不動産引渡命令の申立て」を裁判所にする。
3. 買受人は、「強制執行を申立て」を裁判所にする。
4. 裁判所から債務者へ「明け渡し催告」を行う。
5. 「強制執行」が行われる(債務者が出ていかない場合)。
代金の納付後の所有権
競売で、物件を落札してその代金を納付した時点で、所有権は買受人に移ります。そのため、債務者はその物件から出て行かなければなりません。
「不動産引渡命令の申立て」
買受人が、債務者や占有者をその物件から出すためには「強制執行」を使うことになります。それには、裁判所に「不動産引渡命令の申立て」をしなければなりません。申立て後、裁判所が引渡命令を確定するまでに2週間程度かかります。(書類などの不備、債務者などの不服がない場合は、1週間ほどで引渡命令をとることも可能です)
「強制執行の申立て」
引渡命令が確定したら、買受人は「強制執行を申立て」を裁判所にすることができます。
「強制執行の申立て」は、債務者や占有者が出ていかない場合に、裁判所によって強制的に荷物などを運びだし退去させるための手続きとなります。
「明け渡し催告」
「強制執行の申立て」のあと、約2週間後に裁判所から執行官、または執行補助者が債務者や占有者の自宅に訪問し、「明け渡し催告」を行います。内容としては、決まった期日に「強制執行」を行うということを伝えます。また、訪問の際に荷物などの搬出費用などの見積もりなども行われます。
「強制執行」
「明け渡し催告」から、約1か月までに立ち退きがされない場合、「強制執行」が断行されます。当日は、執行官のほかに作業員や鍵屋が同行し荷物を運び出します。その後はカギを替えてしまいますので、物件の中に入る事はできません。
また、運び出された荷物は倉庫に保管されることが決まっているので、荷物の保管や引き取りの費用は債務者が負担することになります。また、不動産明渡しの「強制執行」の費用は、債務者が支払わなければなりません。買受人に申立てをする際に、立替で費用の支払いをするため、執行後に債務者に請求することになります。
強制執行の実状
「強制執行」の実状としては、支払いが滞り競売にかけられるわけですから、債務者から立替分の支払いがされるのは難しいと思われます。そこで、買受人が退去費用を支払い退去させるという場合も少なくないようです。
強制執行の費用が100万ほどかかるとすれば、退去費用を半分支払ったとしても、コストがかなり安くなるわけです。基本的に退去費用を買受人が払う義務はないのですが、そのほうが、すんなり引渡を行うことができるので「強制執行」をしなくて済むのです。
競売物件に関するご相談などありましたら、お気軽に「アブローズ」までご連絡ください。