所有している財産は本人が亡くなると被相続人託されますが、相続の開始があると知った時から3か月以内に申請することで相続権を放棄することができます。被相続人が高額の負債を抱えている時、相続人全員が相続を放棄するケースも少なくありません。財産が不動産だった際、その物件には所有者がいなくなってしまします。この場合、「物件を競売にかけるのは可能か?」「どういった手順を踏んで手続きを進めていくのか?」気になります。
今回は、持ち主不在になってしまった不動産物件の競売について掘り下げて解説していきます。
相続財産管理人選任の申し立て
相続人がいなくなってしまうと債権者へ支払いが行われず、勝手に回収することは違法となるためできません。そういった場合、債権者は家庭裁判所へ「相続財産管理人選任」の申し立てを行うことで解決します。
相続財産管理人は相続人・財産の調査、動産・不動産の管理と処分、債権者への支払いといった仕事を受け持ってくれます。ちなみに、遺産相続を放棄した相続人にも遺産を管理する義務を負うことが民法で定められており、管理義務から解放されるためにも申し立てを行う必要があります。
申し立てのためには次のような書類が必要になります。
・被相続人の本人・父母の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
・被相続人の子供・孫・兄弟で死亡した方の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
・被相続人の直系尊属の死亡が記載されている戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
・代襲者としての甥や姪で、死亡している方の死亡が記載されている戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
・被相続人の住民票除票または戸籍附票
・財産証明の書類(不動産登記事項証明書など)
・利害関係人による申し立ての場合、利害関係を証明する資料
・財産管理人の候補者がいる場合、その住民票又は戸籍附票
※裁判所ホームページより転載
その他に諸経費として、収入印紙800円分、連絡用郵便切手、官報広告料4153円が必要となります。
任意売却への回避
相続財産管理人は弁護士などに依頼しますが、費用が高額になります。それに加え競売の落札価格は不動産の一般的な価格と比較すると非常に安価です。裁判所に納める予納金なども準備する必要もあるため、売却価格から大量の金額が差し引かれてしまいます。債権者が任意売却を認めると競売を回避し任意売却に変更することができます。
任意売却とは不動産ローンの返済が困難になった場合、債務者と債権者の間に仲介業者を立て、ローン返済額を満たさない場合でも売却できるという不動産取引です。任意売却には、「競売相場より高い価格で売却できる」「近所の方に知られずに行える」「引き渡し時期の相談」など様々なメリットがあります。
まとめ
誰も遺産を相続しなかった場合、競売には相続財産管理人選任の申し立てが必要というお話でした。任意売却は競売が決定してから改札日前日までが期限ですので、半年近く猶予があり、相続財産管理人は任意売却に協力的なことが多く、あきらめずに交渉してみてください。手続きにかかる時間なども逆算して、ゆとりを持って計画を立てるようにしましょう。
不動産相続・競売・任意売却でお困りのことがありましたら、アブローズまでお気軽にご一報ください。