賃貸物件に住んでいて、その物件が競売によって落札されたら賃借人はすぐに立ち退かなければならないのか?それともそのまま、住み続けていられるのか?賃借人の権利はどのようなものがあるのか?見ていきましょう。
「賃借権」と「抵当権」
賃借人が持っている権利を「賃借権」といい、競売を申し立てた債権者がもっている権利を 「抵当権」といいます。賃貸契約を結ぶ際に、不動産会社は契約条件などを説明することが義務づけられています。「抵当権」が設定されている場合は、説明しなければなりません。また、「抵当権」を確認するには「重要事項説明書」を見てみましょう。
「賃借権」で「抵当権」に対抗できるか・対抗できないか
「賃借権」と「抵当権」のどちらが優位かそうでないかによって、対抗できる・対抗できないかが決まってきます。賃借人が対抗できる場合、契約期間が終わるまで住み続けることができますが、対抗できない場合は契約終了の前であっても明け渡さなければなりません。
対抗できる・できないの基準は、抵当権設定と賃貸契約の時期によって決まります。
〇対抗できる
賃貸人が、抵当権の設定よりも前に賃貸契約を結んでいた場合。
〇対抗できない
賃借人が、抵当権の設定よりも後に賃貸契約を結んだ場合。
対抗できる編
〇抵当権が設定される前に結んだ賃貸契約。例えば、「重要事項説明書」に「抵当権」と書かれていない、もしくは「抵当権なし」と書かれている場合。
〇「抵当権者の同意により賃借権に対抗力を与える制度」に、必要な要件が登記されている場合
上記の場合は、競売の買受人(新しい大家)が賃借権を引き継ぐことになるので、賃借人は今までと同じ条件で住み続けることができます。
対抗できない編
〇競売が始まった後に結んだ賃貸契約。競売の買受人(新しい大家)が出す条件で再契約をしなければ住み続けることはできません。すぐに立ち退きを請求された場合は、基本的には競売成立後にすぐ明け渡さなければなりません。
〇抵当権が設定された後に結んだ賃貸契約。例えば、「重要事項説明書」に「抵当権あり」と書かれている場合。この場合は、競売の買受人(新しい大家)が出す条件で、再契約をしなければ住み続けることはできません。しかし、すぐに立ち退きをせまられた場合でも、「建物明渡猶予制度」があり競売成立後の半年以内は、今までどおり住み続けることができます。
「建物明渡猶予制度」とは
抵当権に対抗するこができない賃借権について、抵当権の実行による競売が行われた場合
賃借人は競売落札者の買受の日から6ヶ月に限って、明け渡しをしなくてもよい制度です。
まとめ
賃借人の権利は、抵当権の前か後かで大きく違ってきますので競売がなされたときは必ず確認が必要です。
競売に関する事や不動産の投資の事なら全ておまかせ、ご相談も「アブローズ」までご一報を下さい。