相続

負債・借金の相続を回避するためには

相続によって引き継ぐものは、現金や有価証券、不動産などの資産だけではありません。被相続人名義の借金や負債などがあれば、これも相続の対象となります。
相続人は、通常、被相続人の血縁者ですが、被相続人の財産状況を把握しているとは限りません。莫大な借金が残っていることもあります。被相続人の借金や負債を相続人は引き継ぐしかないのでしょうか。

LP_banner_02

■相続における遺産とは
被相続人の死亡時から遺産相続は開始されることになりますが、まず、被相続人の遺産を調査して、何が遺産なのかを確認しなければいけません。遺産は相続人が複数いれば、法で定められた割合をもって相続するか、遺産分割協議の中で合意をすれば相続人で定めた割合で遺産を相続することになります。
この遺産ですが、被相続人の死亡時を基準として被相続人が保有していた財産のことをいいます。そして、民法896条では「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」としています。この権利義務とは、所有権や債権などの権利に基づく資産であり、義務とは借金などの返済の義務、保証人としての義務といった債務や負債ということになります。したがって相続人は法律の規定もあり被相続人の遺産を全て相続することになるのです。

■負債が資産を超過している場合
相続人が保有するプラスの財産を資産、マイナスの財産を負債とした場合に、マイナスの財産がプラスの財産を上回ると相続人は最終的に借金などの負債だけを相続することになります。
モラル的な観点から負債過多であっても相続して、借金などを被相続人に代わって返済するという相続人もいることとは思いますが、多くの相続人は可能であれば自分が借り入れた訳では無い債務や負債を相続したいとは思わないことでしょう。そこで法律も相続人の救済措置として相続放棄や限定承認を認めています。

■相続放棄と限定承認
相続人が相続を拒否する方法に相続放棄があります。相続人が相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄を申述することで、最初から相続人ではなかったことになります。
相続放棄は負債過多のケースだけでなく、資産の相続であっても放棄することが可能です。限定承認も相続放棄同様に3カ月以内に行う必要があります。限定承認とは、負債が資産を上回るかが不明な場合に資産の範囲内で負債を相続することを承認することです。
期限内に相続放棄又は限定承認を行わない場合には、単純承認といって被相続人の全ての財産を相続することを承認したことになりますので、負債の存在が判明している場合で負債を相続したくなければ相続放棄又は限定承認のいずれかの手続きを忘れずに行う必要があります。

LP_banner_02

ピックアップ記事

  1. 不動産の投資で不労所得生活を始めていくために考えること
  2. マイホームを手放すことになってしまったら
  3. 相続時に名義変更をしないとどうなる?
  4. 住宅ローンによる隠れ貧乏にならないために
  5. 後妻の子の相続における取り扱い

関連記事

  1. 相続

    相続における減価償却の取扱いについて

    相続が発生すると被相続人の財産を相続人が相続することになります。このと…

  2. 相続

    相続による不動産の取得に不動産取得税は課税される?

    不動産には様々な税金が発生します。通常、不動産を取得した場合には不動産…

  3. 相続

    相続税と譲渡所得による所得税について

    相続した不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得に基づく所得税が課…

  4. 相続

    相続における障害者控除の内容と控除額

    障害を持つ方は一般的に経済力に厳しい状況であり、親族の援助などに頼らざ…

  5. 相続

    配偶者がいない場合の相続について

    家族がいる方にとって、相続についてどうするかはいつか話し合いをすると思…

  6. 相続

    償却資産を相続した場合の減価償却の手続き

    相続が発生した場合、現金や有価証券などであれば減価償却が特段の問題にな…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 任意売却

    不動産を売却するのに必要な諸費用
  2. 任意売却

    任意売却を行う際に相談先となるのは?
  3. 債務整理

    債権者による競売と税務署による公売の優劣
  4. 不動産基礎知識

    住宅ローンの残ったままで名義人が亡くなると住宅ローンは相続される!?
  5. 債務整理

    競売における保管金の役割とは
PAGE TOP