住宅ローンを利用する場合に金融機関は土地と土地上の建物に抵当権を設定し、ローンの返済が出来なくなったら抵当権に基づき競売の申立てを行います。
しかし、土地上に未登記建物があった場合に競売ではその扱いはどのようになるのでしょうか。
未登記建物の取扱い
日本では土地と建物を別個の不動産と捉えています。このため土地と建物は別の不動産として、それぞれ登記をすることが出来るようになっています。しかし、建物の登記はローンの借入れなどによって抵当権を設定しないケースでは未登記のままになることもあり、主たる建物を補助、補完する附属建物についても未登記であることが多くあります。
登記には公信力はないものの所有者の推定力は有しているほか、第三者に対する対抗力を備えることになりますから、やはり未登記であるよりも登記しておくことが望ましいものです。競売においても未登記建物が存する場合には、その扱いについて問題となることが多くありますので注意が必要です。
競売における未登記建物
競売において未登記建物がある場合には、それが誰の所有であり競売の対象となるのかならないのかを調べる必要があります。車庫や小さな倉庫といったように競売対象となった主たる建物の附属建物であることが明確であれば主たる建物の処分に従うことになりますので、競売では一括で処分されることが一般的です。
問題となるのは未登記建物が附属建物とは言えないケースです。この場合、土地の抵当権の設定の時期と未登記建物が建築された時期が問題になります。
抵当権者は抵当権設定時期の状態を前提とした担保価値を把握しているため、抵当権設定後に担保物件の価値を下げるような抵当権を侵害する行為に対して対抗措置を有しており、競売においても実際に未登記建物に人が住んでいる場合などで退去や建物収去などの手続きや費用が問題になることはありますが、未登記建物が存することによって権利関係が問題になることはありません。
件外建物となる場合
未登記建物が競売物件となる土地上に存していて、それが競売の対象とならず、抵当権を侵害するものでない場合には注意が必要です。
潜在的に借地権が成立しているケース、法定地上権が成立するケースなどがあります。事前に未登記建物が誰の所有物であり、土地に対する権利がどうなっているのかを調べておかなければいけません。
競売物件の土地上に未登記物件がある場合には、不測のトラブルを抱えてしまうことがありますので、これを避けるためにも物件調書や評価書などをしっかりと読み込み、落札者に不利な条件がある場合には入札を回避するというのも一つの判断となります。