競売物件というと怖い、怪しい、難しいというマイナスのイメージを持たれる方が多いと思います。確かに競売自体は借金などが返済できないなどの理由に基づいて行われるものであるため良いイメージは持ちにくいかもしれません。しかし、物件自体は通常の不動産と変わらないものがほとんどです。
■裁判所が行う競売とは
裁判所が行う競売は「けいばい」と発音し、住宅ローンなどの借金の返済ができなくなったときに債務者の財産を裁判所が強制的に売却し、その代金を債権者で法に沿って分配を行う一連の手続きのことをいいます。
裁判所が行う競売は、主に担保不動産競売と強制競売の2つです。
担保不動産競売は(ケ)事件とも呼ばれ、抵当権などの担保権を有する者が裁判による判決等を経ることなく不動産の競売を裁判所に申し立てることによって行われる競売です。
強制競売は(ヌ)事件とも呼ばれ、抵当権などの担保権がなく、判決や調停などで決まった内容や公正証書の内容を実現するといった債務名義に基づき行われる競売です。
■競売で扱われる競売物件
競売で扱われる競売物件は上記の担保が設定された不動産、担保の設定は無くとも売却して債権の回収見込みがある不動産ということになります。このため競売物件の背景には必ずといっていいほど債務不履行すなわち借金を返せなくてやむを得ず売却に至っているという事情があります。これが競売のイメージを悪くしている大きな要因でしょう。
しかし、維持管理や補修繕を行う費用が捻出できないことが多いために傷みが激しくなっている可能性はありますが、不動産自体に問題がある訳ではありません。程度の差はありますが通常の中古物件と変わりませんし、土地のみであれば更に問題は少なくなります。
また、競売物件の特徴として扱われる不動産の種類が多岐に渡るという特徴があります。金融機関は住宅ローン以外にも多くの貸出を行っており、担保として様々な不動産に抵当権を設定させます。このため一般の住宅だけでなく、事務所、店舗、ゴルフ場、ホテル、工場、農地など様々な不動産が競売で取り扱われます。
■競売物件が安い理由
競売物件は通常の中古とあまり変わらないにも関わらず安く売却されます。通常の物件と異なり競売物件の売却では内覧が行われず、物件に問題があっても損害賠償を請求することができないなど様々なリスクを落札者に負わせているためです。
したがって、もし住宅ローン滞納などにより競売となってしまったら、一般市場と比較して相当低額で売却されてしまうことを覚悟しなければいけません。この状況を回避する方法として任意売却という選択があります。
任意売却は専門的な知識と豊富な経験が必要なため、個人で行うにはなかなか難しい売却方法です。もし、任意売却に興味を持たれましたら是非専門の業者に相談されることをお勧めします。