住宅ローンを利用する人にとって住宅ローン控除は大変ありがたい制度です。その恩恵は可能な限り享受したいところですが、会社の都合により単身赴任を命じられてしまった場合、控除を受けることが出来なくなってしまうのでしょうか。
住宅ローン控除とはどのような制度か
住宅ローン控除とは、正式には「住宅借入金等特別控除」という名称で、住宅ローン名義人の所得税から住宅ローンの残高等から求められた金額の控除を行う制度です。例えば平成26年4月1日から平成31年6月30日までを居住の用に供した年とした場合に、控除期間の10年間において年末における借入金残高等の1%相当額を所得税から控除することができます。
借入金の残高等の計算方法や控除限度額などについても細やかな規定がありますので、詳細は別途ご確認ください。
単身赴任をすると住宅ローン控除はどうなるのか
住宅ローン控除の適用要件のひとつに「新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」があります。この要件により単身赴任をしても控除を受けるためには住民票を移してはいけないとか、土日は毎週赴任先から帰らなければいけないと思っている方がいるようですが、そんなことはありません。
家屋の所有者が、転勤等のやむを得ない事情があり、一定の要件を満たす場合に限っては住宅ローン控除を受けることができるのです。
一定の要件は「家屋の所有者が、転勤、転地療養その他やむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その住宅の取得等の日から6か月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるときは、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができます。」となっています。
この要件を満たす限り単身赴任によって住民票を移しても、毎週赴任先から戻らなくても住宅ローン控除を受けることが可能となります。
単身赴任中のローン控除の確定申告
家屋の所有者がやむを得ず単身赴任をしており、ローン控除を受けるための要件を満たしている場合の確定申告書に添付する住民票の写しは、家屋の所在地が住所として記載されている配偶者などの住民票の写しを添付することになります。
なお、海外への単身赴任の場合には上記の要件から外れてしまい、ローン控除を受けることはできなくなりますので注意が必要です。
住宅ローン控除の効果は大きく、控除ありきで返済計画を組んでいる場合に控除が受けられなくなると返済が困難になる場合があります。このような場合には、金融機関に早めに相談をしましょう。海外赴任などでいっそのこと売却を検討されるのであれば、任意売却の専門業者への相談もお勧めです。