競売における期間入札における入札を行う場合に委任状の提出が求められることがあります。この委任状はどのような意味合いを持っており、何故必要となるのでしょうか。
委任状の役割
委任状とは、書類の申請や特定の行為などについて権利を持たない第三者に対してその権限を委ねる意思を表示した文書のことをいいます。したがって、本来は権利を有しない者に対して権利を与えることになる重要な書類であるため、その取扱いには注意する必要があります。
委任状の書式については、特定の決まりがある訳ではなく、必要な記載事項があれば良いとされています。無用なトラブルを回避するためにも、この委任状に何の権限を委ねるのかについて明確に記載しておくことが大切です。
通常の生活の中では、住民票や印鑑証明など本人でなければ取得が出来ない書類などの取得について第三者の申請によっても取得できるように権限を委ねる場合などに委任状が使用されます。
競売における委任状の扱い
競売での期間入札での入札方法には郵便等を利用して執行官宛に送付する方法と直接裁判所の執行官室に持参する方法のふたつがあります。このとき、郵送、持参いずれの場合でも委任状の提出が必要なケースがあります。
期間入札での入札に当たり必要な書類は次のとおりです。
①入札書、②入札保証金振込証明書、③添付書類
この③添付書類ですが、法人が入札する場合には代表者事項証明書又は登記事項証明書、個人が入札する場合には住民票(マイナンバーが記載されていないもの)、共同で入札する場合には続柄の名器されている住民票(マイナンバーが記載されていないもの)などが必要となり、いずれも発行後3カ月以内のものであることとなっています。
そして、入札者本人ではなく代理人が入札を行う場合に代理委任状が必要となります。このとき入札者が誰であっても単なる書類の提出行為を他の者が行うだけに過ぎない場合には委任状は必要ありません。
代理と代行の違い
競売の入札において単に書類を提出するだけならば委任状は不要となりますが、この行為が代理ではなく、代行に該当するためです。代行には権限が付与されておらず、単なる使者としての役割を果たすだけで意思表示をすることはできません。
一方、代理では入札者本人が代理人に委ねた権限の範囲内において代理人が行った意思表示及び第三者が代理人に行った意思表示は、入札者本人にその効果が生じることになります。このため安易に代理権を付与することは避けなければならず、付与する場合にはその権限の範囲を明確にする必要があるのです。