マンションの賃貸経営を行うメリットとして所得税と相続税の減税効果がよく挙げられます。確かに不動産を所有することで相続税の評価は時価よりも低くなるため相続税の減税効果は高いのですが、所得税の減税を主たる目的としてしまうと本末転倒ということになりかねません。
所得税の減税効果
マンションの賃貸経営によるメリットのひとつに所得税の減税効果があります。マンションの賃貸経営によって得られる所得は不動産所得となりますので、サラリーマンであれば給与所得と損益通算をすることができます。マンションの賃貸経営による減税効果は、この損益通算が認められるために発揮されるのです。
サラリーマンが行うマンションの賃貸経営によって不動産所得が赤字となれば、損益通算することで当該赤字額を給与所得から控除することが出来ますので、年末調整で確定した給与所得に課税された所得税から赤字に対応する納税額を還付してもらうことができます。したがって不動産所得の赤字額が大きければ大きいほど還付される税金は高額ということになります。
不動産所得の赤字
マンションの賃貸経営による不動産所得の赤字によって、既に納めた所得税が還付されるのは嬉しいことに違いないと思いますが、不動産所得の赤字の内容が問題となります。まず、認識しなければならないのは赤字額を超える税金の還付は受けられないということです。所得税は所得に税率を乗じた金額が納税額となります。
例えば100万円に20%の税率が掛かるのであれば、100万円に対応する所得税額は20万円です。逆に100万円の赤字であれば20万円の所得税が還付されるということになります。となると80万円は損失ということになってしまいます。
減価償却費
マンションの賃貸経営で計上できる費用に減価償却費というものがあります。この減価償却費が減税効果の源なのです。減価償却費とは建物のような使用や時の経過によって価値が減ずる資産について、取得時に全額を費用計上するのではなく耐用年数に応じて費用配分をして計上する費用のことです。
実際の支出を伴っていないために減価償却費の計上によって不動産所得が赤字になるのであれば賃貸経営は黒字であるにも関わらず所得税の還付が受けられるという仕組みになっているのです。
したがってマンションの賃貸経営で所得税の減税効果は、減価償却費の範囲内での赤字であることが重要なのです。所得税の還付が受けられるからといって闇雲に費用を掛けて赤字にすることはマンションの賃貸経営の失敗に繋がりますので注意が必要です。