債務者(借り手)のローン返済が滞るなど(債務不履行)となった場合、債権者(貸し手)は不動産を競売にかけ売却して債権回収(売上の回収)を図ることがあります。不動産競売は抵当権などを持っている債権者が申し立てる「担保不動産競売」、抵当権などを持っていない債権者が申し立てる「強制執行」があります。
今回はその中でも、「担保不動産競売」での必要書類についてお話したいと思います。
任意売却ではなくなぜ競売?
例えばAさんがBさんに家を貸したとします。
家賃の請求ができるAさんのことを債権者と呼び、Aさんに家賃を納めなくてはいけない義務のある家を借りたBさんは債務者となります。この記事では、AさんがBさんから家賃を請求しても全く払われなくなった場合、「競売」という手段に出たと仮定しています。
不動産競売は結果が出るまで、手続きの時間などを含めると長い時間がかかります。また競売物件には「リスクがある」と見なされ、一般の市場価格より下がった売却価格になってしまいます。
ですから、通常は「任意売却」で当事者(Bさん)の合意を得ることが望ましいと言えます。しかし、債務者(Bさん)がどう見ても返済不可能である場合、債権回収(賃貸による利益の回収)のために債権者(Aさん)はやむなく物件を差し押さえます。そして「競売」にかけることになるのです。
競売申立の必要書類
「担保不動産競売」での申立てに必要な書類は主に2種類に分けられます。まず、「申立てに関する書類」です。
【担保不動産競売申立書一式】
申立書、当事者目録、物件目録、担保権・非担保権・請求債券目録を作成します。
【不動産登記事項証明書】
発行後1か月以内のものを用意します。
【公課証明書】
最新の評価額、公課が記載されているものを用意します。
【住民票】
債務者が個人の場合に用意します。
【商業登記機構証明書】
当事者内に法人がある場合に用意します。
【委任状】
弁護士など、代理人に委任する場合は用意します。
【特別売却に関する意見書】
申立書の方に意見が記載されている場合は不要です。
次に、「現況調査に関する書類」です。
【建物図面、公図写し】
法務局の登記官に認証されたものを用意します。
【物件案内図】
物件の地図などです。
【債務者または所有者の住民票】
債務者が個人の場合用意します。
【債務者または所有者の商業登記事項証明書】
債務者が法人の場合用意します。
【その他】
不動産競売の進行に関した照会書やそのほか、進行に有利・有益となる資料があれば用意します。
書類以外に必要なもの
ほかには、差押えの登記のための登録免許税を用意します。確定請求債権額の0.4%の額を用意します。あと申込み手数料として、債務名義1通で4000円としてその分の印紙を納付します。これらのものと上記の書類を用意して裁判所に申立てを行い、認められると競売が開始されます。
まとめ
申立ての準備から最終的に競売の落札まで、およそ1年の時間がかかります。債権者であるAさんがなるべくスムーズにスケジュールを組んだり、有利に進めるためには不動産関係の弁護士など専門家と相談しながら行うと良いでしょう。
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