住宅ローンの滞納を続けると、やがて物件は競売に掛けられ、人手に渡ることになります。所有権が人に渡り、自身の家ではなくなった物件に住み続ける方法は無いのでしょうか? また、あるとすればどのような方法なのでしょうか? 今回は競売に掛けられた物件に住み続ける方法を解説します。
競売開始決定通知から立ち退きまでの流れ
あなたが住宅ローンの返済を滞らせたとします。それが一ヶ月か二ヶ月であるなら、待って頂ける可能性が高いです。しかし滞納期間が三ヶ月を超えると、金融機関から残債の一括返済を求める通知が届きます。
これを「期限の利益喪失(きげんのりえきそうしつ)」と呼びます。分割でローンを支払うことが出来ないのに、一括で残債を支払うことが出来る人はほとんどいないでしょう。その為、ほとんどのケースでは債権者によって、裁判所への強制執行の申し立てに進みます。
強制執行の申し立てを受けた裁判所による、物件の調査が行われたのち、約1~2ヶ月後には「競売の期間入札通知書」が郵送されます。競売入札期間は通常、1週間から1ヶ月です。
入札期間中に最も高い値を付けた方が落札者となり、裁判所から「売却許可決定」が下され「代金納付期限通知書」が落札者へ送られます。「代金納付期限通知書」で落札所が残りの代金を納付すると、物件の所有権が正式に落札者へ移ります。
続いて「所有権移転登記」「抵当権抹消」の手続きが行われ、約2週間で権利証が落札者へ交付されます。物件の占有者となった前所有者には引渡命令が下され、これに従わない場合は強制執行がなされます。
ここまでにかかる期間は、ローンを滞納してから約10ヶ月間、入札が始まってから約2ヶ月間です。
競売が開始されたら、もう住み続ける事は不可能なのか?
競売が開始されると、流れを止める事は難しくなります。この項では競売開始前に打てる手立てをご紹介します。
物件を任意売却する
任意売却というのはローン債務の残っている物件を、債権者である金融機関の合意を得た上で売却し、そのお金で残債を返済する方法です。
最終的に物件を明け渡す必要はありますが、ある程度融通が利くため「引越し先が決まるまで住みたい」「子どもが学校を卒業するまで済みたい」などと言った場合にお勧めです。また任意売却は、一般的な不動産売買の相場に近い価格で売却可能ですので、市価の6割程度で売買される競売で処分された場合に比べると、大幅に損が少なくなります。
リースバックする
任意売却によって人手に渡る点は同じですが、新たに所有者となった落札者に家賃を払って、これまで通り済み続けるという方法です。この場合は、生活環境が変わらずに済むというメリットがあります。
親族間売買する
やはり任意売却する事には変わり有りませんが、親族に購入して頂き、これまで通り済み続けるという方法です。家賃の支払いを猶予して下さるなど、便宜を図って頂ける可能性が高いですが、親族に相応の経済力が無いと難しい方法と言えます。万が一他の入札者がより高い値段で入札した場合は、人手に渡ってしまうというリスクがあります。
まとめ
今回は、競売に掛けられた物件に住み続ける方法をご紹介しました。競売が始まってから取れる選択肢は、そのほとんどで親族の協力が必要となる為、それが難しい場合は早めの任意売却で、物件を市価に近い価格で手放す事をお勧めします。
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