本人でなければ出来ないことを他の人にやってもらう場合に、委任状が必要になるケースがあります。任意売却においても委任状が必要となる場面がありますが、どのようなところで必要になるのでしょうか。
委任状とは?
本人でなければ取得できない書類を本人の替わりに取得したり、権利の行使を代行したりするためには、その権限を委ねられていることを証明することが必要になります。このときに委ねられた権限について記載された文書が委任状となります。
委任状には決まった書式や用紙などはありません。
記載内容については、必要な記載事項があれば通常は足ります。しかし、委任状の提出を求める先で厳密に記載内容が定められていたり、捺印する印鑑の種類を指示したりしている場合がありますので、事前に確認をしておく必要があります。
任意売却に必要な委任状
任意売却の依頼を受けた業者は、売却不動産に掛かる固定資産税の評価証明書を取得するための委任状と売却出来たときに抵当権の抹消をしなければいけませんので司法書士に抹消登記の依頼をするための委任状をお願いすることになります。
固定資産税の評価証明書は移転登記の料金を計算するために必要なものです。
したがって任意売却の対象となる不動産全てについての評価証明が必要になります。任意売却の依頼を受けた業者は、委任状を持って区役所などの窓口に赴き委任状を提出して評価証明を取得することになります。
任意売却される物件の登記簿には、抵当権が登記されているのが通常であり、売買の完了時には当該抵当権が抹消されていることが前提となります。このため任意売却が完了するまでには抵当権抹消が完了するように手続きを進めておく必要があり、司法書士に委託をする際に所有者の委任状が必要となります。
委任状で気を付ける点
委任状を出すということは、自分の権限を他人に委任することになりますので、委任する内容を出来る限り明確に記載しておくようにしましょう。委任内容について記載の無い白紙委任状を発行してはいけません。
住所などについて誤字や脱字があると委任状が認められないケースもままありますので、作成の際には十分に気を付けましょう。とはいえ、捨印については慎重に対応することをお勧めします。また、委任状の氏名は必ず委任する本人が直筆することが必要です。これらの気を付ける点は任意売却で発行する委任状についても同様です。
委任状については、誤字などによる無効、代理権の濫用、記載内容の改ざんによるトラブルが発生することもありますので、その発行については慎重に行い、防げるトラブルは未然に防ぐようにすることが大切です。