競売物件は市場価格よりも安く購入することができるというメリットもありますが、注意しなければいけないのは、そこには当然いくつかのデメリットがあるということです。今回はそのデメリットについて詳しく見ていきたいと思います。
競売物件とは
住宅ローンが払えなくなった場合、そしてそれを放置し続けた場合、債務者(ローンを組んだ人)は「期限の利益」を失い、債権者(金融機関)は残金延滞利息の一括返済を求めてきます。債務者の代わりに住宅ローン保証会社が残金を一括返済します。(代位弁済)
この時、債権は住宅ローン保証会社に移ります。保証会社は債権回収のため裁判所に競売の申し立てをします。この時点で「差し押さえ」になります。(抵当権の実行)
その後、物件の調査、資料作成、基準価格決定を経て一般に公開され、入札が行われます。その売り上げを債権回収に充てるというわけです。これが競売物件と言われるもので一般住宅の価格より割安で手に入れることができます。
しかし、そこにはいくつかのデメリットもあるため注意が必要です。代表的なデメリットを次で詳しく見ていきましょう。
デメリット①「引渡し義務がない」
競売物件を手に入れる際のデメリットの一つに、売主が存在しないため、不動産取引の買主の権利が成立しないということです。例えば、通常の不動産取引では売主は所有権の移転はもちろんのこと、その物件を買主に引き渡す義務が存在します。
その中には賃借人などがいた場合、立ち退いてもらった後に引き渡す義務や付帯設備の点検・使用説明の義務、また隣家立ち合いのもと、敷地境界の確定・説明の義務もあります。
また抵当権や賃借権を抹消しておくのも売主の義務となっています。ところが競売物件の場合、裁判所が所有権の移転は行いますが、引渡し義務はありません。どういうことかと言いますと、仮にその物件に住んでいる人がいた場合、その立ち退きに関しては、裁判所は一切の義務を負わないことになります。
立ち退きさせる場合は別の手続きが必要になってくるというわけです。空室の場合であっても、通常なら不動産屋から鍵を受け取りますが、競売物件では多くの場合、専門の鍵開錠業者に頼んで鍵を開けることになります。
また前の住人の持ち物が残っている場合(残置物)、その所有権は移転しないため勝手に処分することができないなど、多くのデメリットを覚悟しなければなりません。
デメリット②「瑕疵担保責任がない」
これはどういうことかというと、例えば、通常の取引で売買契約の後になって、雨漏りが発覚した場合、売主には賠償責任がありますが、競売物件の場合は全て自己責任、自費で修理しなければなりません。
まとめ
デメリット①②に加え、競売物件には住宅ローンが使えない、つまり一括で支払わなければならないなどのデメリットもあります。しかしながら、そのお金を用意できるならば格安で手に入れることができますし、掘り出し物件なども確かに存在します。メリット・デメリットをトータルに考えて判断することが重要になることでしょう。また、競売に強い専門業者もありますので相談されることをお勧めします。
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