不動産競売での物件購入には、購入する前からその物件に住んでいる占有者が立ち退いてくれない、もしくは前居住者の家財道具が残ったままになっている、などのトラブルも少なくありません。そんな状況に出くわした時どう対処したらいいのか、見ていきましょう。
競売物件購入のリスク
通常の不動産取引には売り手側と買い手側があり、売り手側は引渡に関する義務を、買い手側は支払いに関する義務をそれぞれに果たすことで契約を成立させます。
しかし、不動産競売では売り手側に相当する立場が存在せず、その責任が果たされない状態で購入者の手に渡ることになるのです。今回挙げる立ち退かない占有者や放置されたままの家財道具も、引渡義務の不備に起因するリスクの主たるものと言えるでしょう。
立ち退いてくれない占有者への対処
競売物件購入後も居住し続けている占有者がいた場合、まず立ち退きについて交渉することになりまが、その際、占有者側から引っ越しの費用として明け渡し料を請求される場合も多々あります。
後に触れますが、競売物件を購入した買受人は法的な手段に出て占有者を強制的に退去させることも可能です。しかしその場合、結果的に占有者の引っ越し代金より多額の費用を要してしまうケースが一般的であり、実際に明け渡されるまでの日数も長くかかってしまいます。
リスク軽減を考えれば、明渡料支払いに応じてスムーズに、かつ禍根なく立ち退いてもらうのも一つの手でしょう。立ち退き交渉が決裂してしまった場合、買受人は裁判所に引渡命令の申し立てを出すことになります。
引渡命令は申し立てから一週間で発布され、その後一週間以内に占有者側から不服申し立てがなければ、その時点で買受人は占有者を強制的に立ち退かせる強制執行の申し立てができるようになるのです。
強制執行の申し立てには終了まで1~3カ月の期間を要し、実際に強制立ち退きに入るのはそれ以降となるでしょう。また、占有者が競売物件を元所有者すなわち債務者から借りていた貸借人だった場合、6カ月の明渡猶予期間が適用されます。
残された家財道具はどうすればよい?
購入した競売物件内に家財道具などがそのまま放置されてあった場合、買受人とはいえ勝手に処分することはできません。
占有者がいた場合の対処と同じように、まずは家財の所有者である元所有者あるいは元賃借人との交渉が必要です。
それでも家財の撤去がなされなければ、次の手段として裁判所へ強制執行の申し立てを行い、それに基づいて処分することとなります。その際の費用も競売物件買受人の負担となります。
購入前にあらかじめリスクを考慮に入れておくことが必要
ここまで見てくると、競売物件に占有者あるいは家財が放置されてあるといろいろと面倒だと思われるのではないでしょうか。
競売物件購入を検討する際には、これらのようなリスクが含まれることを念頭に入れておく必要があります。競売に強い不動産会社の仲介やアドバイスを得ることも、リスクの回避または適切な対処につなげるための有効な手段の一つです。
まとめ
以上、競売物件に占有者が居住していた際もしくは前居住者の家財が残されていた際には、まず元所有者との話し合い、それでも無理なら裁判所へ引渡命令と強制執行の申し立てをするという対処があることを見てきました。
いずれにせよ、不動産会社など専門家の助力を受けていほうが、より安心して対応できると言えます。
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