任意売却を実際に行った人でない限り耳にする事のない「ハンコ代」と言う言葉があります。素直に捉えても理解に苦しむ言葉です。今回は、任意売却におけるハンコ代が意味する役割について把握しておきましょう。
任意売却の仕組みについて
「ハンコ代」の前に、任意売却の仕組みについて知っておくとわかりやすくなりますので説明しましょう。
住宅の所有者である債務者が、競売にかけられて自分の意思にそぐわなくても、売却されてしまう事に対し、少しでも良い条件で売却できる可能性が高い任意売却を決断する事にします。まずは、任意売却を専門に扱う不動産業者などに対して、専属の仲介をお願いします。
仲介する業者は、抵当権を持つ債権者達に対して「承諾」が必要になるので、抵当権が付いたままでは売却ができないため、その交渉まで行ってもらいます。それと同時に、買主を探して契約まで担当します。
「承諾」が取れると、抵当権の抹消を行い、契約の方も実行可能となるのです。その後は、売却後の引っ越し費用や、債務の残りについても仲介業者が、無理なく返済できるように交渉してくれます。ここまで確実に実行してもらわないと「任意売却」を行う必要性がなくなりますので、必ず確認すべき事項です。
任意売却と「ハンコ代」の関係性について
任意売却を実行する為には、抵当権を持っている債権者の承認が必要と述べましたが、ここで問題になるのが、複数の抵当権がある場合です。任意売却を行っても、全ての債務を払えるほどの金額で売却されるのは難しいのが現状です。
この場合、複数の抵当権を持つ人達には優先順位があるので、多くの場合は第1抵当権を持つ債権者がほぼ独占する形になってしまうのです。
この事で、第2、第3の抵当権を持つ人達は、配当が貰えないので「了承」する意味がないのです。
これに対して争っても時間と無駄な費用を費やすので、具体的には、第2、第3の抵当権を持つ人達に対して承諾料を払う事によって「許可のハンコ」を押してもらう形で、解決するのです。
「許可のハンコ」が意味する事は、抵当権の解除料金にあたる為に、通称では「ハンコ代」として通っているのです。法的には、そこまでする必要がないのですが、抵当権を全て解消する為にも、第2、第3の抵当権を持つ人達に対して、協力してもらう承諾料としての意味と役割があるのです。
「ハンコ代」である抵当権解除料が何故必要なのか具体例
実際の名称は、担保にしている不動産の抵当権の抹消です。当該不動産に対して、複数の抵当権が付いている場合には、売却したお金を分配する配当金に対して優先順位が発生します。
支払いにおける配当は、第1から順番に第2、第3へと行うわけです。仮に、第1の抵当権の金額が1000万円で、第2、第3の抵当権の金額が400万円ずつとします。しかし、不動産の売却代金は、900万円となった場合、第1の金額にも満たない為に、第2、第3までの配当はできない事になるのです。
ここでは、第3の抵当権まで配当をするには、1800万円以上を必要とします。実際には、任意売却でも全ての債務を支払いできるのは稀で、そこまで対応できないからこそ、任意売却や競売によって債務の回収を行うのです。
具体例は極端にわかりやすくしていますが、多くの場合が、優先順位の1番目でさえ、全てを回収できるのは稀なのです。このような事から、1番目でさえ回収できない事に対して、2番目や3番目が売却に協力しても無駄な事がわかります。
しかしながら、協力金として「承諾書にハンコを押す事」で、もともと1円も入らないお金が、貰えるのならば、その意味があると言う事です。抵当権の抹消料としての「ハンコ代」が慣例として行われているのです。
ハンコ代の目安について
1番目の抵当権者は、任意売却の方が多めに回収できる可能性があるので、後の順位者達に対して任意の承諾料を払う事になるのです。特に料金の相場はなく話し合いで決定します。住宅金融支援機構は、ハンコ代についての規定を唯一定めています。
第2順位に対しては=30万円か、あるいは残った元金の1割の低い額を選択
第3順位に対しては=20万円か、あるいは残った元金の1割の低い額を選択
第4順位以下に対しては=10万円か、あるいは残った元金の1割の低い額を選択
まとめ
任意売却におけるハンコ代は、抵当権を抹消する為に必要な承諾料の役割があります。単独の抵当権なら問題ないのですが、複数の抵当権がある場合に有効な手段としてハンコ代の存在があるわけです。
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