裁判所からの広告で、マンションの一室が競売物件として出ているのを見かけることがありますが、これは所有者が管理費の滞納を続けていることが原因です。特にマンションの競売物件には、一戸建て住宅の競売には無い注意事項がありますので、今回は一般の競売物件に参加する際の重要ポイントと併せて解説したいと思います。
競売物件に掛かる費用
競売物件に入札するには、基準価格の20%の入札補償金を裁判所に支払う必要があります。落札が決定すると、落札金額から保証金を差し引いた金額を裁判所に納付し、所有権移転と抹消登記の登録免許税を支払います(落札できなかった場合の保証金は返ってきます)。
占有者が引き渡しに応じない場合は、強制執行による退去を依頼する費用が必要になります。
競売物件は内覧ができない
競売物件は入札前に内覧することができません。内覧ができないということは、雨漏り・設備の故障・シロアリ被害・基礎の破損や施工不良といった、物件調査時に執行官と不動産鑑定士が気づかなかった瑕疵の存在を自身でチェックできないということです。
物件調査で撮影される写真は少なく、詳細まで確認することはできません。入札する際は、瑕疵の可能性まで考慮して資金を準備しておく必要があります。
滞納した管理費と遅延損害金
マンションの管理費は住民が共用で使っている場所や物(エレベーター・給排水管・ポンプ)の維持管理、光熱費、管理会社の費用に使われるものであり、一部の利用者が管理費を滞納していると住民全体に不利益を被ってしまいます。
買手側は債務者が滞納した管理費と遅延損害金を支払う義務があります。このことを特定継承人と呼び、以下の責任が発生します。
「管理組合の規約もしくは集会の決議等に基づき、他の区分所有者に対して有する債権は、債権者たる区分所有者の特定継承人に対しても行うことができる。(区分所有法8条)」
時々、売却基準価格が1万円になっている物件を見かけますが、これは滞納した管理費が膨大になっており、評価額がマイナスになっていることが原因です。単純に安いからと後先を考えず落札してしまうと、多額の管理費を請求されてしまいます。必ず入札する前には、物件証明書や評価書の確認を怠らないようにしましょう。
まとめ
競売物件は市場価格の7割程度の金額で落札できるため一見格安に見えますが、多くの諸経費が掛かりますので、入札前に入念な事前調査と高めの見積もりを行うことが重要です。交通の便が良い・人気のある地域は一般市場価格に近い金額で落札されることもあります。
人生の中で競売に参加する機会は中々ありません。初めての競売で良いマンションの部屋をできるだけ安い価格で手に入れるのであれば、専門の機関に一度ご相談することをお勧めします。
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