不動産基礎知識

占有者が競売に与える影響とは

競売では占有者によっては物件引渡しの時に大きな問題に発展することがあります。どのようなケースで問題が発生し、どのような解決方法があるのでしょうか。

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所有者と占有者
競売物件に限らず、物に対しては「所有者」と「占有者」がいます。
所有者とは所有権に基づいて物を所有する者のことです。所有権とは物について全面的な支配を持つ状態で、自由に使用し、収益することができ、処分する権利のことです。
占有者とは占有権に基づいて物を占有する者のことです。占有権とは、物について事実上の支配を持つ状態であることを認める権利のことです。この占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得することで成立します。
この「自己のためにする意思をもって物を所持」というのが分かりにくいのですが、法律の根拠は無くとも占有しているという事実によって占有権が認められると考えていただければと思います。
所有者が占有者であるケースもあれば、所有者のほかに占有者がいるケースがあります。競売物件でいえば、所有者が競売物件に住んでいれば占有者でもあり、所有者以外の者が住んでいればその住んでいる者が占有者であり所有者と占有者が異なります。
いずれにせよ競売では落札者が自ら物件の使用をする場合には、占有者がいれば占有者に引渡しを求めることになります。

明け渡しを求める相手は占有者
落札者は占有者がいれば明け渡しを求めることになりますが、占有者が必ずしも明け渡しに協力的であるとは限りません。
明け渡しを渋ることで金銭の見返りを求めているのかもしれませんし、もともと他に行くところが無いのかもしれません。理由は色々とあるかと思いますが、落札者として放置しておく訳にもいきません。
競売では所有権の移転登記などの対応は行ってくれますが、通常の不動産売買と異なり明け渡しまで面倒は見てくれません。
落札した競売物件が空家であれば問題はありませんが、占有者がいる場合には落札者が自身で明け渡しを求めていく必要があります。

明け渡しの具体的な方法
占有者が明け渡しに協力的ではない場合には、通常、建物明渡請求訴訟に依ることになるのですが、競売の場合には裁判に依らずに不動産引渡命令を裁判所から得ることができます。
この申立ての期限は代金納付の日から6カ月以内となっています。
この命令は占有者にも通達され、通達から1週間以内に不服申立てがなければ命令が確定し、強制執行が可能となります。
建物明渡しの強制執行は家財道具が残置され、その運び出しなどの費用がかかる場合には高額な費用が発生することもあります。
このようにして最終的には強制執行を行って明渡しを求めることが可能ですが、時間と費用が発生します。これらの手間が発生する可能性も織り込まれるため競売価格は割安になるのです。
一方、任意売却であれば占有者との明渡しのトラブルはなく、買い手は安心して購入できるため競売よりも高い価格での売買が可能となるのです。競売よりも高く売却したいとお考えであれば、任意売却を検討してみるのもお勧めです。

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