競売を妨害する行為は基本的に犯罪に該当します。競売に限らず人を傷付ける行為は犯罪行為ですが、競売では競売特有の犯罪に該当する行為があります。
また、刑法だけではなく、民事執行法によって処罰の対象となるものもあります。思わぬことが犯罪行為に該当して処罰の対象となることもありますので、十分に注意しましょう。
■刑法によって犯罪に該当する競売妨害行為
競売を妨害する行為で下記のものは刑法によって罪を問われることがあります。
競売を行うために公務を行う執行官などに執行を妨害するために脅迫したり、殴ったりなどの暴行を加えて職務の執行を妨害する行為をした場合には、公務執行妨害罪や職務強要罪などが適用される可能性があります。
また、脅迫や暴行を加えずとも虚偽の事実を陳述すなわち嘘をついて競売の執行を妨害する行為も強制執行関係売却妨害罪に該当する恐れがあります。
執行官の行為に対する妨害だけが罪に問われる訳ではありません。執行官からの聞き取りに対して嘘を述べること、虚偽の書類を提出することなどは強制執行関係売却妨害罪に該当する可能性があります。
また、競売を妨害する目的で競売の目的となっている建物などを破壊する行為は強制執行妨害目的財産損壊等罪で罰せられる恐れがあります。
■民事執行法によって犯罪に該当する競売妨害行為
競売を妨害する行為で下記のものは民事執行法によって罪を問われることがあります。
執行裁判所から売却基準価額の決定について呼び出しを受けたにもかかわらず正当な理由なく応じない場合、執行官による現況調査や建物引渡などの強制執行に際し、嘘の陳述や書類の提出をした場合や陳述や提出を正当な理由なく拒んだ場合、執行官や内覧参加者の内覧のための立ち入りを正当な理由なく拒んだ場合などは陳述等拒絶の罪に該当する恐れがあります。
明け渡しの催告のときに執行官が公示するために施した公示書などを破壊するなどした場合には公示書等損壊罪に問われる可能性があります。
■競売妨害に対する厳しい対応
競売の執行は手厚い法律で保護されています。これは競売が以前から妨害されることが多かったために、その対策として改正が続けられてきたためだといえます。
マイホームが競売の対象となってしまったからといって、競売を遅らせたり、売却出来ないようにしたりしてしまうと罪に問われる可能性が高いです。
競売に納得がいかないのでしたら、遅くとも競売開始の決定までには他の方法を模索することをお勧めします。任意売却であれば、自分自身で納得しながら売却できる可能性も高まりますので是非ご検討ください。