競売に限らず裁判所でお金が絡む場合に保管金や供託金という言葉が出てきます。あまり普段では使用しない言葉のためイメージしにくい人も多いと思います。今回は特に競売に深いかかわりのある保管金について説明します。
保管金とは何か?
保管金とは実は読んで字の如く、裁判所で保管しているお金のことです。保管金の主なものとしては、契約保証金や入札保証金などが該当し、裁判所が預かり管理するお金です。
ただし、裁判所は銀行などの金融機関ではありませんので、理由も無くお金を預けたり、自分の好きな金額を預けたりということは基本的に出来ません。保管金となる理由があるから、裁判所は預かるのです。
競売における保管金
競売において保管金が出てくるところは大きく3つあります。ひとつは競売の申立人が裁判所に払う予納金です。次に入札保証金です。そして最後に落札者による落札金額の支払いの場面です。
競売の申立人が払う予納金は、管轄する裁判所によって多少異なりますが、競売による請求債権額によって金額が決まっています。
この予納金は競売を行うために利用されるお金であり、評価書の取得や現況調査のために必要があれば予納金から支払われることになります。
したがって予納金は保管金として裁判所で管理されますが、預託金ではありませんので使用されていくことで減っていきます。このため足らなくなると追加で予納金を支払うケースもあります。
入札保証金は、競売物件の買受希望者が入札に当たって支払うお金です。入札保証金は、最低売却価格の2割となっており、裁判所は保管金として入札保証金を預かります。
入札保証金は、落札できれば落札代金の一部に充当され、落札できなかった場合には返還されることになっています。なお、落札したにも関わらず残りの代金を支払わなかったり買受を辞退したりした場合には保管金として預けられていた保証金は没収されることになります。
落札金額の支払いでは、残代金の振込を行って、裁判所から保管金受領証書を受け取ったら支払い自体は完了となります。
落札者が決まったら保管金の性格が変わる
競売における主な保管金は以上のようになりますが、入札保証金は落札者が決まると保管金の性格が変わります。落札者は残代金を支払わないと保管金が没収されてしまうのですから、ここで競売を取り下げるのが難しいというのはこのようなことが理由のひとつとなっています。
保管金としての予納金も競売手続きが進むにつれて減っていきますので、競売を取り下げて貰うのであれば、早いに越したことはありません。