不動産基礎知識

不動産競売で銀行のローンは使えるのか?

通常の不動産売買に比べ、安価で中古物件を購入するチャンスがある不動産競売。しかし、比較的安いとはいえ不動産購入は大きなお買い物、持ち金のみで支払いを済ませるのはなかなか大変でしょう。銀行ローンを利用する手もあるのです。その方法について見てまいりましょう。

従来の不動産競売は現金一括払いが原則、でしたが・・・

かつて競売物件の購入では、買受人は落札代金を全額まとめて支払わなければならないルールが取られ、そのため資金力のある方しか参加できない性質のものでした。ですが近年、より多くの人たちが容易かつ積極的に競売に参加できるよう、ローンによる支払いを認めるなど法改正が進められています。

それに伴い、銀行など金融機関も競売購入の際のローンに応じるサービスを、徐々に開始していく傾向となってきました。

不動産競売でローンを用いる際の手順

競売物件をローンすなわち金融機関から融資を受けて買えるようになったのは、民事執行法第82条第2項という法律が設定されたことによるものでしょう。その説明を交えつつ、不動産競売における融資の利用法を確認していきましょう。

融資が決定されるには3週間ほどの審査期間を要するため、競売物件の代金納付期限内に融資が実行されるよう、しっかりタイムスケジュールを立てて進めていかねばなりません。

まず、競売の入札準備と並行して金融機関と融資の相談を進めていく必要があるでしょう。
物件によっては融資不可にあたるものもありますので、よく確認しておきましょう。

競売物件の閲覧期間である1カ月が入札準備期間に相当しますので、その間に入札参加を決め、それに併せて融資先の金融機関も決めておくことがベストです。その後、1週間の入札期間が置かれ、この間に入札参加資格を得るための保証金を競売の主催者である裁判所に支払います。

この保証金とは、競売物件について不動産鑑定士が評価した場合の金額の2割に相当し、競売の入札者全員が予め納付しておくものです。落札できなかった参加者には全額返還されますが、落札者すなわち買受人は、購入代金からこの保証金を差し引いた額を期限内までに支払うことで、物件を購入するという流れとなります。
仮に落札した後その金額を納付できなければ、物件が入手できないのはおろか、保証金すら戻ってこないという事態になってしまいます。ここで注意しておきたい点は、融資を受ける前に物件の評価額の2割に当たる保証金に関しては、自分で用意しておかねばならないということです。これをクリアできなければ入札への参加自体が不可能となります。

入札期間終了後の開札期日で、提示された入札金額中最高値が明らかとなり買受人が決定しますが、実際の売却許可決定日はその1週間後です。その間可能であれば金融機関に仮審査を申請しておくことで、その後の融資決定までの流れをよりスムーズにすることができます。

売却許可決定日に裁判所から売却許可決定謄本が発行されます。融資に必要なその他書類等を用意しておけば、この謄本を入手したその日から融資審査を開始できるでしょう。

順調にことが進めば、落札代金納付期限までに融資が決定するでしょう。
ですが、融資の受ける際には事前に、「民事執行法82条2項の規定による申出書」を裁判所に提出していなければなりません。この書類には、金融機関が指定した司法書士の署名などが必要です。

通常の不動産売買では融資実行と同時に不動産担保の手続きが必要となりますが、競売物件購入で融資を希望する場合、落札額未納状態の買受人はまだ物件所有者になっていないため担保の手続きが出来ません。民事執行法82条2項はその時間差を埋めるための取り決めと考えて差し支えないでしょう。

上記の手順を経て、融資金額を競売物件代金として裁判所に納付し、物件は買受人の所有となり後は月々ローンを金融機関へ返済していく段取りとなります。

競売融資の注意点

前項の手順を追っていくことで、所々に注意を要するポイントが垣間見えてきます。

入札参加に物件評価額の2割の金額を用意しておかねばならないことや、諸々の手続きを遅滞なく行うこと、そして最も気を付けなければならない点は、落札できたとしてもその時点で融資が決定しているわけではないので、結果的に融資不可となれば入札参加時に支払った保証金が損失となってしまうリスクが含まれること、ではないでしょうか。

この手の融資に慣れていない方にとっては、果たして本当に融資を得られるのかどうか見極めが付きにくいものです。まず、競売の融資に詳しい専門家に相談し充分に検討を重ねることが第一でしょう。

まとめ

以上のとおり、不動産競売をローンすなわち融資で購入する際の手順とその注意点について見てまいりました。リスクを極力回避していくためにも、まずは信頼のおける専門家のアドバイスを伺うことをお勧めします。

競売に関する事や不動産の事なら全ておまかせ、ご相談も「アブローズ」までご一報を下さい。

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