競売は住宅ローンの返済が出来なくなってしまい、債権者から督促や催告などを受け続けた結果、それでも返済ができないため、債権者が競売開始を申し立てることで行われます。
このような債務者の状況では、固定資産税などの税金が滞納されているケースが少なくありません。固定資産税などの税金は、自己破産をしても借金と異なり消滅しませんが、競売の場合ではどのような扱いになるのでしょうか。
■管理費の滞納と税金
債務者がローンなどの返済が出来なくなってしまったために競売となる訳ですが、固定資産税も滞納になっていることはある意味では自然なことなのかもしれません。そのような意味ではマンションの管理費なども住宅ローンの返済が出来なくなっている競売物件では何ヶ月も滞納になっていることも同様なことなのかもしれません。この管理費の滞納は、競売によって新しく所有者になる者が支払うことになります。このことは建物の区分所有等に関する法律でも定められており、競売の売却基準価額などでも管理費の滞納については織り込まれています。
それではマンションの固定資産税などの税金の滞納についてはどのようになるのでしょうか。通常、競売が行われるケースでは、税金の滞納による債権は、住宅ローンなどの抵当権に劣後するため、税金は、管理費と異なり競売による新たな所有者が支払う必要はありません。
■任意売却におけるメリット
税金の滞納によって不動産の差押えを行うにしても、住宅ローンなどの抵当権に劣後していると、競売では住宅ローンの返済に充当されるだけで、税金の支払い義務は債務者に残り続けるのが一般的です。しかし、任意売却を行うと競売よりも債務者にメリットが認められるケースがあります。
もし、固定資産税などの税金の滞納によって差押えの登記がなされている場合には、この登記を解除しなければ任意売却したくともすることができません。そこで、競売よりも高い金額で売却出来るのであれば、債権者が差押えの登記を解除するために滞納金の一部を任意売却による売却価格から支払うことがあります。
これは滞納している額の全額ということではなく、あくまで差押解除料ということになります。しかし、債務者にとってみては、自分が支払わなければいけない税金の滞納額を一部肩代わりしてくれたことには違いがありません。
■支払うという姿勢が大切
折角、任意売却を選択して競売よりも高い金額で売れそうだということになったのに、税金の滞納による差押えが解除できずに、話が流れてしまうということはあまりに勿体ない話です。
分割弁済の申し入れや、事前の相談など課税側に支払う意思を見せておくことが、あとあと効いてきますので、普段から支払う意思を見せるようにしておきましょう。