債務整理のうち任意整理は自己破産や個人再生と異なり、自由度が高く特定の債権者との債務について利息の免除などの交渉をすることが可能です。また、周囲に知られることなく、家や車などの財産を手放す必要が無いことから広く利用されています。
しかし、遅延損害金についての免除はなかなか難しいとも言われています。これは何故なのでしょうか。
遅延損害金とは何か
債務整理のうち任意整理は債権者との交渉によって利息を免除してもらい返済額を減らすことによって完済するための手続きですが、ここでいう利息とは一般的には将来利息のことを意味します。将来利息については免除を承諾する債権者も経過利息と遅延損害金については免除を承諾しないという債権者もいます。
将来利息とは任意整理の和解が成立してから完済するまでに発生する利息のことを意味します。そして経過利息とは滞納をしてしまう前の最後の返済から和解が成立するまでに発生した約定利息のことを意味します。
遅延損害金とは返済が遅れたことによる損害賠償金のことを意味し、厳密には利息と遅延損害金は異なるものです。例えば利息が3%、遅延損害金が14%だとしたら、返済期日を過ぎたところから遅延損害金の利率が適用されるのです。しかし、経過利息に遅延損害金を含めた表現がされることもありますので注意しましょう。
したがって滞納後期間を空けずに債務整理に着手すれば滞納金は短くなるため経過利息と遅延損害金が大きな金額にはならないのが一般的で、将来利息の免除が大きな意味を持つことになります。
なぜ経過利息と遅延損害金は免除不可のケースがあるのか
債務整理の相談をすると弁護士等は債権者に対して将来利息だけでなく経過利息と遅延損害金についても免除の交渉を行うのが一般的です。
任意整理は法律の強制力は無いために承諾は債権者次第なのですが、将来利息の免除はしても経過利息と遅延損害金の免除には応じない債権者がいます。これは、利息の支払いについて裁判となった場合に、将来利息は免除となっても経過利息と遅延損害金については債務者の支払いをもって和解を勧められるケースが多いためと言われています。
このため債権者が遅延損害金などについては免除を認めない債権者もいるのです。
まずは弁護士等に相談
債務整理のうち任意整理は債権者との交渉ごとであるため弁護士等の交渉力によって結果が大きく変わってきます。もし、任意整理によって債務を軽くしたいということであれば、少々手間を掛けてでも、実績のある弁護士等を探して依頼・相談をされることをお薦めします。
特に経過利息と遅延損害金が大きな金額となっている場合には、その免除の承諾を得られるかどうかで債務者の負担が大きく変わることになり、返済計画に大きな違いが現れます。