最近では、不動産取引をしている関係者だけではなく、一般の方でも入札に参加する時勢です。落札するには、売却基準価額の3倍を超える高額で落札される場合もありますし、買受可能価格と同額で落札されることもあります。そのような開きはなぜ起こるのでしょうか。
それでは、競売における最低落札価格と物件の関係性をみていきましょう。
■最低売却価額制度から売却基準価額制度へ
最低売却価額制度はプロの不動産鑑定士が導き出した物件の、評価額の2~3割程度減価で設定されるのが原則です。最低売却価額制度は、売却する下限の価格をいい、基本的に入札価格はこの金額以上の価格に設定しなければなりませんでした。
しかし、最低売却価格が市場価格より高めに設定され、取引が成立しないというケースが増えたことから、競売によって債権者の債権回収を行うという目的を速やかに実現するという社会的要請もあり、最低売却価額制度が見直された結果、平成17年4月1日より売却基準価額制度へと変更しました。
売却基準価額制度に変更したことで大きく変わったことは、基準価格を20%下回る価格でも入札が可能ということです。
■最低落札価格と物件の関係性
前記のように、競売に出される物件はプロの不動産鑑定士が評価額を出し、そこから売却基準価額を求めていくので、個々の物件により事情が全く異なります。
その物件を競り落とすことになるのですが、人気度=「入札者数」と仮定すると、人気の高い物件は落札金額も跳ね上がり、市場価格を大きく上回って落札されることも出てきます。
それとは逆に、最低落札価格で落札される物件として考えられるのは、例えば使用借権(他人の物をタダで借りて使用している)の土地上に建つ家などという場合は、土地の所有者以外には無価値ということから、競合する相手もないため「最低価格で落札される」ことになります。
半年ほどの期間で入札が行われますが、この期間に物件に入札が無かった場合には、特別売却という手続きがおこなわれることになります。これは、裁判所が提示した「買受可能価額」以上の金額であれば、誰でも先着順で落札できるという売却方法です。
その時ですと、早い者勝ちですので、最低落札価格で落札することができます。
■まとめ
以上のようなことから、最低落札価格(裁判所の提示する買受可能価額)で物件を落札できたとしたら、入札期間中の情報開示で見落とした情報があるのかもしれません。そうならないためにも、不動産取引のプロにお任せするのも一つの手です。
不動産のことに関して何か疑問やお困りごとがありましたら、お気軽に「アブローズ」までご相談ください。