債務整理

競売による賃貸借契約とは?

土地や建物(家や部屋)を借りるとき賃貸借契約をします。借りている土地や建物が競売になったら、そのまま住むことはできるのか? 競売による賃貸借契約について調べて行きましょう。

■賃貸借契約の内容とは?

賃貸借契約とは、当事者(契約関係人)が土地や建物(不動産)を借りて「使用料の支払いを約束する」ことで効力が生ずる契約のことです。

賃貸借の目的物を貸す側を「貸主」「賃貸人」といい、目的物を借りて賃料を支払いう側を「借主」「賃借人」といいます。土地の賃借人を「借地人」、建物の賃借人を「借家人」といい契約に関しては、以下の内容を明らかにする必要があります。

・契約期間と更新の定め
・賃料や管理費(共益費)の額、支払い、滞納時のルールなど
・敷金などの初期費用
・暴力団等の反社会的勢力の排除
・入居・生活上の禁止事項
・修繕ルール
・契約の解除規定
・借主からの解約規定
・原状回復の範囲と内容規定

■競売による賃貸借契約

不動産の競売は、抵当権など担保権の実行による場合と、税務署が滞納処分で行う場合に裁判所の判決や公正証書に基づいて行う場合があり、事前に競売の理由となる事柄について登記等の対抗要件が備えられていたか否かで変わります。

抵当権など担保権の実行による場合は、賃貸借契約の時期によって居住を続けられるかどうかが決まります。賃貸借契約が担保権の対抗要件成立以前にされた場合、賃借権の対抗要件(登記、建物の引渡に関する書類)が備えられていれば、賃借権を主張して居住継続ができます。

賃貸借契約を競売の差押登記の前にしていた場合は、賃貸借契約の期間が3年を超えない場合(短期賃貸借:民法602条)に、賃借権の対抗要件を備えていれば、期間内は賃借権を主張することで継続居住ができます。

しかし、3年の期間を過ぎれば立ち退き請求がされます。差押登記後に賃貸借契約をしていた場合には賃借権の対抗要件を備えていたとしても、競落後には立ち退かなければなりません。

■賃貸借契約成立の立証

裁判等で賃貸借契約の成立を主張する場合に、契約関係を一定期間継続することや、当事者が誰かということ、目的物が何かということだけでなく、返還時期(賃貸借期間)も契約の要素とされます。

賃貸人が賃借人に不動産の使用料の支払いを約束することと、賃借人が賃貸人に対しその土地や建物の使用の対価として賃料の支払いを主張立証するだけでなく、以下のような具体的な事実も主張立証する必要があります。

・賃貸借契約の当事者(賃貸人・賃借人)が誰か
・賃貸借の目的物は何か(その物を特定できる事実)
・賃料の金額、数量等
・目的物の返還時期(賃貸借の期間)

■まとめ

借地や借家が競売にかけられた場合に、引き続き居住できるのかについて調べてきました。競売の原因により、賃貸借契約の時期や期間が重要なことが分かりました。契約に関しても種類がありましたが、賃貸借契約(書)の保管と不動産借用に関する知識は大切になります。

不動産のことに関して何か疑問やお困りごとがありましたら、お気軽に「アブローズ」までご相談ください。

ピックアップ記事

  1. マイホームを手放すことになってしまったら
  2. 在宅ローンの老後破産リスクは任意売却で回避しよう
  3. 不動産売却における委任状取り扱い説明書
  4. 後妻の子の相続における取り扱い
  5. 不動産投資による不労所得を得るための仕掛け作りとリスク

関連記事

  1. 債務整理

    競売の買受人と原始取得

    競売物件には様々な事情の物件があります。よって、必ずしも良い物件ばかり…

  2. 債務整理

    債務整理を行うのは結婚前と結婚後いずれが良いか

    結婚を控えているにも関わらず、返済が困難な借金を抱えているとなると、ど…

  3. 債務整理

    税金滞納による差押えを債務整理で解除できるか?

    住宅ローンやカードローンなどの返済を滞納していると、やがて財産を差押え…

  4. 債務整理

    債務整理のメリットとデメリットとは?

    債務整理の主な方法には、任意整理、個人再生、自己破産の3つがあります。…

  5. 債務整理

    競売物件の転売について

    一般的な物件より割安な競売物件。これを手に入れて転売すると儲かるのでは…

  6. 債務整理

    賃貸物件を競売にかける際の「立ち退き請求」について

    賃貸物件を競売にかける場合、そこに住む住人に対して「立ち退き請求」がで…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 相続

    相続の支払いには困らないように控除と特例がある
  2. 任意売却

    競売における「配当期日」に対するそれぞれの対応
  3. 任意売却

    任意売却の委任状の役割
  4. 任意売却

    土地のみが競売の対象の場合、土地上の建物はどうなる?
  5. 不動産基礎知識

    住宅ローン審査における世帯年収の目安は?
PAGE TOP