競売物件の所有者が亡くなった場合には、そのまま競売をする事ができません。不動産に設定されている抵当権を実行する為には、その相続人を当事者とする担保不動産競売をする事になります。競売申立と代位による相続登記の関係について紹介しましょう。
相続登記を行う必要性
登記名義が死亡者(被相続人)のままでは、競売を実行する為の、差押登記をする事ができないのです。相続人の単独申請を原則としている「相続登記」は、複数の相続人に対して、協力を得る事ができないため、抵当権者が相続人に代位(代わりに行う事)して相続登記を申請する事ができるのです。
これは、「代位による相続登記」となる申請方法のひとつです。これは、債権者の権利を確実なものとして、回収する為の方法として、債務者の登記申請権を代わりに実行する事なのです。
相続人を確定させるには、
相続人を明らかにするには、戸籍謄本等が必要になります。戸籍謄本等により、相続登記の添付書類の一部として相続人を確定する際に必要です。
1-相続人調査(相続人の有無の確認)
競売物件の登記名義人(被相続人)の相続人を確定させる為に、相続人の住所を調査・確認する為、戸籍の附票等で調査しますが、戸籍の筆頭者と本籍地を特定して請求するには、「強制競売の申立てを行う者」によって戸籍謄本等の交付を請求できるのです。
2-配偶者及び子供(第一順位の相続人)の有無
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを取り寄せて、配偶者や子供の存在を確認します。子供が死亡している場合には、代襲相続人の有無(直系の子供や孫が受け継ぐ事)を確認します。同じように、相続人の対象が不在の場合は、直系尊属(第二順位の相続人)の有無や、兄弟姉妹(第三順位の相続人)の有無を確認します。
3-相続人不存在の場合
兄弟姉妹(その代襲相続人を含む)がいない又は相続放棄をしている対処として、相続人が誰もいない時には、競売物件が法人となり、抵当権者は利害関係人として家庭裁判所に対して、「相続財産管理人の選任」を申立てできます。
※相続財産法人とは、遺産を放置しておく事ができない為に、相続財産をまとめて法人化して管理する事です。所有者のいない財産は、最終的に国のものになります。相続財産管理人によって、精算業務を行い国に返還する作業です。
担保不動産競売申立て(強制競売申立て)について
債権者は執行裁判所に対して、相続人を当事者とする担保不動産競売(強制競売)を申立てする事ができます。代位による相続登記を行い、その登記事項証明書を提出する事です。
代位を行う相続登記の申請
抵当権者(債権者)は、競売物件を管轄する法務局に申請します。相続登記に必要な一般的な添付書類の他に、「競売受理証明書」を提出が必要です。「登記識別情報」は代位により、相続登記を申請した場合には通知されません。
競売開始決定の運び
執行裁判所にて相続登記完了後に対象不動産の登記事項証明書を取得したものを、提出する事で、裁判所が担保不動産競売(強制競売)の開始を決定する事になります。これによって、裁判所書記官により差押登記の嘱託が行われます。
遺産の競売と相続税
相続する遺産が競売の対象となっている場合には、被相続人の持っていた債務の代償としての対象物件となった場合には、相続人たちは競売による代金はほとんど返ってきません。
債務の配当金として債権者に返還されるので、余剰金(あまりのお金)があった場合のみ、相続の対象になります。競売物件の相続の場合には、ほとんどが債務となるので、相続する対象として課税される事はほとんどありません。
まとめ
競売物件の所有者が債務の対象となる場合には、相続登記を必要としますが、先に競売にかけられている場合には、競売物件を相続するかどうかが問題となってきます。相続人が負債を嫌って相続放棄した場合には、相続財産管理人によって精算業務を行う事になります。債権者は競売の為に相続登記を行い、相続人は債務の相続をするかどうかが問題となります。
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