債務者から差し押さえた不動産などを、裁判所が売りに出すシステム「競売」。ちょっと強引に思える差し押さえから競売への流れですが、民事執行法というきちんとした法律によって規定されているものなのです。いったいどのような法律なのか見ていきましょう。
差し押さえ&競売を認めた法律
民事執行法を不動産競売の面から見ると、不動産の差し押さえからそれが競売の商品に挙げられる段階までが、主に関連性のある部分となるでしょう。競売に参加する側の立場に関わってくることはさほどないかと思われます。ですが、より多くの事柄を知っておけばおくほど、より良い買い物へと繋がっていくものです。競売においてもそれは同様、民事執行法について理解しておくことも、不動産競売をお考えの方にとって決して無駄ではありません。
民事執行法について
民事執行法とは、法的に認められた債権者側の権利について、債務者側が果たすべき義務を履行しない場合、裁判所の強制力を使って債権者の権利を達成するという内容の法律です。
例えば、お金を借りた人(=債務者)がお金を貸した人(=債権者)に借金を返してくれない、つまり債務者が借金返済という義務を履行せず債権者の権利が侵害されている、という場面を想定してみましょう。
そんなとき債権者は、裁判所に借金を返してもらえるよう申し出ます。裁判所はそれに応じて、債務者が所有しているお金に換えられそうな資産を強制的に回収し、これを競売によって換金し、債権者に分配することになります。
例えとして挙げた上記が、実のところそのまま不動産競売のおおまかな流れとなります。つまり、競売とは民事執行法に基づく仕組みであるということですね。
差し押さえから競売まで
もう少し、土地や建物といった物件が競売に出されるまで、その流れを関連するキーワードを含めながら振り返ってみましょう。
土地や建物といった不動産を所有する債務者がなかなか借金を返そうとしない場合、債権者は裁判所に申し出、それを受けて裁判所は債務者の不動産を強制的に回収します。
このことを「差し押さえ」と言います。
差し押さえられた不動産は裁判所により、競りの形式で売りに出されます。つまり、競りにかけられる物件を買いたい人たちを募って各々が払える金額を提示させ、その中で一番高い金額をつけた人に売る、という売買方法が取られるわけです。裁判所によって行われるその売り方が、「競売」と言われるものですね。
債権者の権利を守るための法律
借金があるからと言って、債務者側の意思とは無関係に資産を取り上げるというのは、人権的にどうだろうか?と思われるかもしれません。しかしだからといって、借金が返されないままといった状況がまかり通ってしまうと、お金を貸した債権者側の権利が侵害されてしまうことになるのです。そうなる事態を避けるための取り決めであると考えれば、いささか強引ですが仕方ないともいえるのではないでしょうか。
まとめ
以上のことから、不動産競売とは民事執行法という法律に基づいて行われるということが、わかっていただけたかのではないでしょうか。差し押さえ物件を扱う不動産競売という言葉のイメージだけで捉えると、なにか強権的な怖いような気がしてしまうこともあるかと思われます。しかし、正当な権利を補償するための制度だという側面があるのです。
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