必ず頭金が必要な時代もありましたが、現在は100%全額+諸費用の融資を受けられるケースも多く、オーバーローンの状態に陥りやすいです。オーバーローンの状態がどういったものか詳しく解説します。
オーバーローンとは
住宅等の資産を売った時、住宅ローンの残債が資産価格を上回る状態の事をオーバーローンと言います。つまりオーバーローン状態で資産を売って、それを住宅ローンの返済に充てても住宅ローンが残ってしまう(全額返済できない)状態の事です。
似た言葉でフルローンがありますが、フルローンは頭金無しで住宅ローンを組む事で意味は全然違います。
現在は全額融資を受けられる事が多い
昔は頭金を用意した上で、住宅価格の8~9割を融資額としている金融機関が多くありましたが、現在はほぼ100%融資を受けられる所がほとんどです。さらに返済能力や金融機関によっては住宅にかかる諸費用分(価格の3~5%程度)も一緒に借りることができるため、買ったその時から返済額が資産価格を上回るオーバーローン状態になる事が多いです。
オーバーローンによくあるケース
資産価値が落ちにくい物件(マンションや戸建てなど)もありますが、基本的に住宅は年数が経過すると資産価値が落ちてきます。住宅ローンの残債も年数の経過と共に減っていきますが、それより資産価値の下がるスピードが速いと、ローンの残債が資産価値を上回りオーバーローンになりやすいです。
土地は年数による価格の変動は少ないですが、建物は基本的に資産価値が落ちやすいです。
都心の好立地物件に比べると郊外の安い物件などは建物の資産価値が落ちやすい傾向にあるので注意しましょう。
長期返済時の収入の急な変動
オーバーローンの状態であっても、完済まで安定して滞りなく支払いを終えれば理想的なのですが長期返済の場合、収入が減ったり教育費が思った以上にかかったり家族が病気になったりして、家計の収支に急な変動があるのはよく聞く話です。
それまで安定して支払えている住宅ローンが急に苦しくなる時期がくるかもしれません。家を売ってローンの返済に充てようと思い、いざ売ろうとするとオーバーローンの状態で住宅の売値を住宅ローンの残債が上回っていて売れなかったケースはよくあります。
一括返済しないと抵当権の設定ははずれない
金融機関は基本的に一括で全額返済しないと抵当権の設定を外しません。他人のローンが残っている家を(抵当権の設定が外されていない家)を買おうという人はまずいません。
ローンの残高分を現金で埋められるような状況ならともかく、通常の方法で売って処分するのは非常に難しいです。結果的に競売や任意売却で売ってしまう。というケースもあります。
競売と任意売却
競売は金融機関が裁判所に債務の返済を申し立て、「裁判所が資産を強制的に売りに出す制度」でこれを受けると、債務者にメリットはほぼない上に住宅から強制退去もありえます。
また、任意売却は債務者が同意の上で家を売りに出すので、残ったローンをどのように返済するか相談できる上、競売より高い相場で住宅を売りに出す事ができます。引っ越しのタイミングなども相談してある程度自由にできます。
任意売却から自己破産のケース
任意売却の後、引越し先で賃貸料を払いながら残債を支払い続けるのはかなりの負担ですので、自己破産するケースもあるようです。そのような状態を回避するためには、残債の支払いもきちんと計画をたてたうえで金融機関との相談が必要です。
まとめ
経済全体の変動が大きい現代、土地や住宅の価格変動も流動的です。資産価格に注意を払いオーバーローンに陥っていないか、返済が滞る前にチェックしましょう。ローンの仕組みを理解し、資産価格も含めたシミュレーションを行い、無理なく返済できるように設定する事が大切です。
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